TRIUMPH 6T Thunderbird “SEVEN STAR” 1954
HEIWA MOTORCYCLE
高い技巧と遊び心で魅せる
まごうことなき平和スタイル
一目してビルダーが木村健吾と分かる、『平和スタイル』を踏襲した一台。昨年の横浜ホットロッドカスタムショーに出展され、ショー後も国内外で高い評価を得ているマシンである。
毎年、横浜向けにフルスクラッチを一台作るのが近年の平和のルーティン。昨年2022年はこの一台が広島からパシフィコ横浜に持ち込まれた。
「いつもお任せで作ることが多いですが、今回は女性オーナーさんと打ち合わせを重ねて造りました。外装やペイントの色味、マフラーあたりはオーナーの意図も汲んで制作しています」と、木村さんは話す。
今回のマシン、一見すると近年の平和スタイルと比較して車高が低く見え、またフレームのストレッチも大きく見える。しかし、フレームワークは過去作とほぼ変わりないそうだ。
「ショーの会場でも『いつもと違うね』って言われたけど、このタンクの形状やマウントの仕方、あとは空間の作り方でそう見えるんですよね」と、氏は歯を見せる。これらは視覚効果を巧みに使った遊び心によるものだろう。
フロント部分がストレッチされた形状が目を引くタンクはアルミで製作されている。マウント位置をかなり低くすることで先述の車高の低さを演出。また、タンク下部のみアルミの素地感を残しているあたりがユニークだ。そのラインはリアのシートカウルへと伸び、そのエッヂの効いた直線がレーシーな雰囲気を醸し出している。
シートカウルも同じくアルミにて製作。サイドに走るストラット状の部分、セパレートに見えるが実はワンピースで形成されている。それを塗り分けによって描出しているあたりが心憎い。
逆に、ワンピースに見えて実はセパレート。そんな画策がなされているのがマフラーだ。
「以前からやってみたかったアイデアの一つで、2in1に見える2in2マフラーというのがあったんです。でも実際造ってみたら本当に2in1にしか見えなかったんで、サイレンサーをずらした造りにして強調させました」
高水準なメタルワークと遊び心のシンクロニシティが生んだパートは、見ていて飽きない面白さがある。
過去の名作たちと同じく、今回も平和らしさを踏襲しつつ新たな試みも忍ばせたこのマシン。オーナーの『なな』という名前から“7”を連想し、『セブンスター』と名付けられた。
車体色のイエローの補色関係にあるブルーの空の下、そこを走る姿は、きっと痛快なものになるだろうと夢想した。
(写真・文/マツモトカズオ)
TRIUMPH 6T Thunderbird “SEVEN STAR” 1954 DETAIL WORK
METER
モトガジェットのメーターを据えたステーには、オーナーの名前と車名のダブルミーニング、『7』を刻んだ。
FRONT FORK
フォーク、ブレーキ共にヨーロッパ製のトライアル車用をチョイス。細身なF周りは平和のカスタムに必須だ。
GAS TANK
その形状、配色ともに特徴的なタンク。マスタード系のイエロー、そして下部に残したアルミの輝きが眼を惹く。
MUFFLER
スプリットされたマフラー&サイレンサーは木村氏がずっと温めていたアイデアのひとつ。その発想に感服する。
PRIMARY
プライマリーはオープンに。これができるのもEG / TM別体ならでは。エッヂの効いたカバーの造形にも注目。
SEAT
シートはフレーバー・レザーワークの仕事。スナップボタンでシートを外すと、オイルタンクにアクセスできる。
BUILDER’S VOICE
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