H-D FXE 1982
MOTOR CYCLE GOODIES
量産しつづける
最高傑作の回廊
前回お邪魔したのは約1年ほど前。そして今回足を運んでみると、新たにスタッフが加わり、何やら活気が満ちていた。それは単純に人が増えたからという問題だけではなく、工場全体を取り巻く空気感がそう感じさせる。和気藹々(わきあいあい)といえばそうなのだが、それだと若干緊張感がない。なので、その雰囲気を『風通しが良い』と表現するのがベターかもしれない。風通しの良さは、互いの距離と作業効率に密接に結びつくもの。
その風の張本人である主の柴崎さんは、前回同様に物柔らかだ。みずみずしい緑に囲まれて生活する人特有の穏やかさがある。そんな氏は眼前のマシンを前に、1930年代のボバーをコンセプトにして製作したと話す。
「オーナーさんからこのイーグルペイントをやりたいというお話を頂いたんです。で頂いた画像が’30年代のボバーのもので、『このペイントすごいカッコ良いですね』って。でも使うエンジンがショベルだったのでまあ自分の解釈で製作しましたね」
イーグルペイントが似合う車体作りが前提である。そこで、スプリンガーフォークや銅管で配備したオイルライン、剥き出しのプラグコードなど、各ディテイルを’30年代の残香に寄せていきながらも、うまく現行パーツと組み合わせてバランシング。当時の面影を追うあまりに乗りにくくなってしまうのでは目も当てられないため、その辺は最善の手法でミックスされた。
「実はフルカスタムするときにいつも個人的に決めていることがあって、何かひとつ新しいことに挑戦しようみたいな。今回は分割タンクをワンオフで作ってみようというのが力を入れた部分ですね」
ガスタンクは内側1枚、外側4枚の鉄板を叩き出して接合。そして分割式のため、どちらか片方だけが上手く出来ても駄目で、左右対称に綺麗に仕上げる点が大変だったとのこと。いざ作り出して初めて、自分にとってはハードルが高かったことに気付いたと、氏は楽し気に回想する。
また、オイルタンクも地味に手の入った箇所で、こちらも鉄板を切り出してイチから成形していったパートだが、ココに関しては『作ったぞ』というより、みんなが気付かなかったらしめしめだといたずらっぽい。
毎回作るカスタムが最高傑作になるように。そして、常に何か新しいことに挑戦するように。志(こころざし)の高い作り手のもとには自然と同志が集い、何ものにもさえぎられることのない風が流れている。
HARLEY-DAVIDSON FXE 1982 DETAIL WORK
HANDLE
ライザー一体のハンドルはワンオフで製作。ボバーバーに寄せずに操作性を考慮したオリジナルデザインとした。
FRONT FORK
74スプリンガーフォークにヘッドライトはトラクタータイプを装着。タイヤはオールステートのダートマン。
GAS TANK
今回最も労力を費やした分割タンク。左右対称になるよう鉄板を叩き出して接合。側面はわずかにアールが付く。
ENGINE
ストックモーターに、エアカバーはサニーサイドファクトリー製を選択。ステップはハイマウントとされた。
MUFFLER
マフラーは左右出しのスラッシュカット。オイルタンクもガスタンクと同じく鉄板から切り出して成形した部位。
SEAT
乗り心地を踏まえて厚めにデザインしたワンオフシート。フェンダー後端のメッキのチップは単一で製作。
BUILDER’S VOICE
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