YAMAHA SR400 2000
ECCENTRIC MOTORCYCLE
ゾーンへともぐり込む
英国トラッカースタイル
果たして、どれほどのファンがこのショップのことを正しく理解しているのだろうか。国産車のカスタムに強いのは知られたところだが、そのどれもが一筋縄ではいかない技巧が凝らされている。
どう見てもノーマルとは違う妙趣なシルエットにはそれ相応の理由があり、更にそこにミリ単位の調整が図られていることは決して表には出て来ない真実だ。
主人の大西さんはこのカスタムを、「英車の良さをヤマハSRに落とし込んだトラッカースタイル」だと語る。キッカケは、ここ数年トライアンフの外装を触って来た中で、どうにかしてそのカッコ良さを国産車両に取り込めないかと考えた所からだそうだ。
そこで、まず始めに着手したのがフレームで、地面との水平ラインを大事にして製作。ガスタンクが載るメインチューブ後方からは全て作り直し、リアサスが極力直立状態の英車風になるようにとそのマウント箇所を変更。シートフレームの高さをノーマルよりフレーム1本分上げて、実際のサスマウントに際しては上側を若干後ろに下げ、下側はスタッド留めでは雰囲気が出ないことから挟み込み式に。サス自体も左右それぞれに内側へ5mmずつ寄せてナローなラインを形成した。
それに付随したエンジンマウントも綿密だ。本気で英車のテイストを醸すならシリンダーが前方に傾いていては話にならない。なので、ユニット全体が直立になるようマウント自体をイチから構築。これまで数度に渡って手掛けてきた作業なだけに、その難易度とは裏腹につつがない。
加えて、フロントフォーク。三つ又とアウターチューブは地道に削り込んで成形したもので、本物のチェリアーニ製を使うと見栄えは良いが『やり過ぎ感』が出てしまうことから却下。それだけの理由であえて時間も労力もかかる手作業の方を選択してしまうのがきっと、限られた作り手だけが持つ感性というものだろう。
更に、同じ理由からレーシングパーツに頼ることなく、前後ブレーキパネルは肉抜きした後にメッシュを貼付。フロントのパネル止めプレートの表面処理は、真鍮ブラシをかませボール盤を使ってひとつずつ描いていったパートだったりもする。そして、諸事このありさまである。ゾーンに入ってしまったら最後。いつだって氏は、没頭からやがて忘我へと深みにもぐり込んでしまう。
海千山千ひしめく埼玉県のカスタムショップ。その作り手たちが時に持ち込む、金属加工の外注先でもある事実はあまり知られていない。
YAMAHA SR400 2000 DETAIL WORK
HANDLE
純正ポストを削り込んで10mm落とし、トップをラウンド型に。リバタリア製バーには後付けでアーチを付加。
FRONT FORK
ストックフォークの三つ又とアウターチューブを削って英車風に。ヘッドライトは英国製のデッドストック。
FRONT WHEEL
ホイールは19インチへ換装。ドラムパネルを加工し、パネル止めプレートの表面処理は手作業によるもの。
GAS TANK
ワッセル製バナナタンクのリプロを使用。トンネル部はワンオフで製作し、車体とのバランスを計って装着する。
MUFFLER
トラッカーマフラーはフレーム間を通り抜けるデザインに。骨格のトライアングル部分はリメイクされた。
REAR END
ループフレーム箇所はフェンダーと合わせてメッキ処理。ベロアのチンチラ柄シートはスカンクが作製を担当。
BUILDER’S VOICE
ECCENTRIC MOTORCYCLE
住所 | 埼玉県川口市本蓮2-12-13 |
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電話 | 048-291-8921 |
FAX | 048-291-8924 |
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営業時間 | 11:00 ~ 20:00 |
定休日 | 月曜日 |