H-D UL 1941
GRASS HOPPER MOTOR CYCLE
タップで抜け出す
こらえきれない本格派
ロングフォーク好きにはたまらないシルエットだろう。すっとフロントエンドの伸びた、ギミック無しの本格派チョッパー。ステムへッドを頂点にした正攻法のトライアングルフォームを前に、1970年代当時の風景が遠く透けて覗くかのようだ。
製作は茨城県の『グラスホッパー』。一般ユーザーはおろか業界内にもファンを抱えたショップなだけに、外観を下手にいじることはないものの、やはり若干の寝技は当然仕込まれている。
「これはうちで働くロングフォーク好きのスタッフのです。フォークは最初ヴィンテージのデンバース製でいく話だったんですけど、自分がこのディックアレンの古いやつを持ってたんでそれを譲ってあげてスタートした感じですか(笑)」
主人の山田さんに話を振れば、のっけから『ディックアレン』といった舌の肥えた単語が飛び込んできた。飾らない自然体のチョッパースタイルに反して、なかなか市場に出回ることのない希少パーツをいきなり放り込んでくるあたり、流石である。
また一方で、フレームにもちょっとした遊び心を投射。断っておくと、今回のモーターは’41年式ULである。でもフレームに使ってるのは’36年のレプリカで、実は’36年にはまだULは存在しなく、その始まりは’37年から。つまり、そもそもあり得ない難解なセットアップを、「ちょっと面白いかな(笑)」程度のテンションで話されるもんだからかなわない。
「まあフレームのディティールがちょこちょこ変わってるんで見る人が見たらっていう。なんか違くない?みたいな人はいましたけど気付く人はいなかったですね(笑)」。言ってしまえば、誰もが落ちてしまう落とし穴のようなものだ。『ストン、ストン』と、リアル過ぎて気付ける人はいないが、仕掛けた張本人にはそれが逆にOKなあの感じである。
さて、他の外装を見てみよう。20インチオーバーのディックアレンに、前後19/16インチのホイールを実装。敢えてリア18インチにいかなかったのは古めのイメージを踏襲してのものだ。そして、当時物のピーナツタンクに市販のリアフェンダーやマフラーなどを配備。当初掲げた、「余計な手を加えない当時あったであろうライトカスタムなチョッパー」像はクリアに輪郭を現わした。
見ての通り、正攻法のロングフォークチョッパーでありながら、同店ならではの寝技が仕込まれたミモザイエロー。一度キメられてしまうとなかなか抜け出せない秘技の数々に、迷わずタップしてしまう。
HARLEY-DAVIDSON UL 1941 DETAIL WORK
HANDLE
ハンドルにカリフォルニアプルバックバーを選択。ライザーは勿論フォークから伸びたディックアレン製だ。
FRONT FORK
希少なチョッパーパーツとして知られるディックアレン製フロントフォークは20インチオーバーとなる。
GAS TANK
当時物のピーナツタンク。通常縦割り溶接が主流だが、これは横割りでトンネル部分はプレス一体成型となる。
ENGINE
‘41年式ULモーターをフルレストア。キャブはリンカートM65で、クラッチにLEEのスーサイドタイプを使用。
SEAT
‘36年のレプリカフレームにリバー製ベイツタイプシートをセット。カラーリングはオーナー希望のもの。
SISSY BAR
シッシーバーは長くしがちなところを敢えて短めに設定して差別化を図る。そこにルーカステールを合わせた。
BUILDER’S VOICE
GRASS HOPPER MOTOR CYCLE
住所 | 茨城県水戸市杉崎町152-1 |
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電話 | 029-259-4746 |
FAX | 029-259-4746 |
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