H-D FXS 1976
LOCAL CYCLES
エイティーズへの憧憬が香る
かぐわしきストロングスタイル
熊本県に店を構える『ローカルサイクルス』。作り手の永池(ながいけ)さんが製作するチョッパーは、その絶妙なバランス感覚でチョッパーフリークたち、そして同業者からの評価も高い。今回紹介するマシンは、近年の同店を象徴するような一台である。
オーナーは永池さんの作るチョッパーのファン。製作は完全な『お任せ』だったという。「’80年代のチョッパーが好きで、いつかゴリゴリのチョッパーを一台作りたいと思っていたんです。このショベルは僕がやりたかったことを詰め込んだ一台ですね」と、永池さん。
まず手掛けたのは外装類。ガスタンクは社外品の5ガロンタンクをナロードし、アールのついていたタンクサイドをフラットなラインに成形。メーターダッシュ周りの造形はそのまま残している。ストックの造形を活かすのが好きだという氏らしさを感じさせるパートだ。
リアフェンダーはFX系のストックフェンダーをカットし、エンド部を跳ね上げた。また、板状の鉄を加工して製作したと話すシッシーバーも特徴的だ。「画家のデビッドマンが好きで、彼の描くチョッパーにこんなタイプのマシンがあって。一度作ってみたかったんです」。このあたりに、氏が憧憬を抱くエイティーズのテイストを垣間見る。
フレームは4速。こだわったのはカットしたエンド部の処理だ。リアサスの上側マウント部付近のカット箇所を純正っぽく見せるため、丸みを残し鋳物の雰囲気を残すことで、加工感を抑えている点に注目してほしい。
そしてこのマシンを語る上で欠かせないのが、サイケデリックなペイントワークだ。黒を基調とした外装に、パステル調のグラデーションが効いたフレイムス。アメリカの古いバンに施されていたカスタムペイントに着想を得たそうだ。またこのペイントを最大限に活かすため、フレームにはクロームを施している。
フロントフォークは10インチオーバー。「最初はここまで伸ばす気はなかったんですが、作っていくうちに長い方がかっこいいなと思ったんです」。ボトムは純正を加工してバーニーズ然としたフォルムに成形。ショップオリジナルのナローツリーと相まって、やり過ぎない細さを実現している。
九州のヴィンテージバイクイベントHills Marketでは「YENC Pick」、カスタムバイクショーのジョインツでは「Best 4 Speed」、New Order Chopper Showでは「Best Paint」を受賞するなど、ショーでも高い評価を得ているこのチョッパー。『ストロングスタイル』を標榜する同店の次作が今から楽しみだ。
(写真・文/マツモトカズオ)
HARLEY-DAVIDSON FXS 1976 DETAIL WORK
TRIPLE TREE
オリジナルの41mmナローツリー。純正ブレーキが入る幅が確保される。ライトはMillerのスクエア。
PAINT WORK
美しいフレイムスが描かれたペイントは永池さんが全幅の信頼を寄せる「トラッドペイント」の仕事。
SEAT
「光永オートインテリアデザイン」製のシート。トップとサイドの素材感のコントラストが絶妙だ。
RIGID BAR
ツイストされたリジッドバーは、エッジを削り落としてナローかつ流麗なデザインにリメイクした。
MUFFLER
マフラーはワンオフ。車体に合わせ、何度も作り直した箇所。リアホイールはディスクグライド純正品となる。
TAIL LAMP
テールランプはNice! MC製のスクエアテール。フラットなデザインのシッシーバーに絶妙にフィット。
BUILDER’S VOICE
LOCAL CYCLES
住所 | 熊本県山鹿市鹿央町合里2570‐6 |
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電話 | 0968-41-9085 |
SHOP | LOCAL CYCLESのショップ紹介 |
営業時間 | 10:00 ~ 19:00 |
定休日 | 第1・3火曜日 |