H-D FXS 1981
CLUB ZENITH
暖簾に染め抜かれた
行く手を見据えた作法
創業1991年の、30年以上の歴史を有したカスタムショップである。千葉県指折りの『クラブゼニス』は余さずユーザーの声に耳を傾け、その理想とする形を提供してきた。そして今回の一台もオーナーの希望を丸ごと呑み込んだ上で、玄人の観点をプラスして手を加えたものだ。
「これは既にお客さんの具体的なビジョンが出来上がっていたんです。『フリスコスタイルで無駄がなく』という感じでしたので、そこからちょっとスポーティーな路線で組みあげていきましたね」
全体的に細身のシルエットに配慮して作業は進められた。まず骨格にはパウコフレームを用い、そこに純正フォークをスムージングした後に装着。ガスタンクもナロータイプを選択して、若干ネック部と距離を空けた後方にマウント。そしてワンオフのハンドルもイメージに準じてタイトに仕上げられている。
一方、カラーリングはブラックで統一。これは「とにかく黒で」、という依頼を受けてのものだが、そこで長年カスタムに従事してきた経験値が発動する。要は全部黒にしてしまうと立体感がなくなりメリハリもつかないため、あえてクロームやポリッシュ箇所を残して美容。こうすることで立体感はもとより、そこから派生する上品さをも入手している。
「基本的に難しい作りはしてないので苦労という点ではそこまでしてないです。でも整備性の高さには着眼してます。例えば一つの部品を外すのに他の部品も外さないといけないとかはダメですよね。特定の箇所にラクにアクセス出来るように心がけています」
長い目で見れば、機械物のためどうしても故障は出てくるもの。でもいざ壊れた時に簡単にトラブル箇所にアクセス出来ることが大切だと言う。それは出先でアクシデントに遭っても手持ちの工具でなんとかなること。ひいては、5年10年と乗り続けた際に修理にかかる時間や費用を抑えることにもつながっている。
「あとはこれは常になんですけど配線です。ハーネスワークだけは気にしながら組んでます。故障箇所を探究するときに困らないように、むやみにハンダ付けしないようにとか、系統別に分けたりしてメンテナンス性を上げてます」
整備性を確保すること。同店が見た目のカスタム以上に配慮するポイントは一貫している。それは今すぐに効果を発揮するものではなく、長く乗り続けることで見える景色でもある。しかしそれが長きに渡って古豪の暖簾を守り続けてきた、粛とした作法だ。
HARLEY-DAVIDSON FXS 1981 DETAIL WORK
HANDLE
ワンオフのライザー一体ハンドルは細身に製作。ライザー部にゆるやかなアールを加えて前方にオフセット。
FRONT FORK
フォークは純正SHOWA製。左側のキャリパーマウントのみを残して他はスムージングした後にブラックアウト。
GAS TANK
汎用のナロータイプを使用。マウント位置は元々持ち込まれた画像を見ながらオーナーと共に位置決めされた。
MID CONTROL
ナローな車体に合わせてBDL製1.5インチオープンベルトを。ミッドコントロールは同店オリジナル品を装着。
MUFFLER
マフラーはワンオフしたショートタイプのターンアウトをセット。フットペグにはネオファクトリー製を採用。
REAR END
汎用リブフェンダーやシッシーバー、ホイール、チェーンに至るまでをブラックに塗装。印象を引き締めている。
BUILDER’S VOICE
CLUB ZENITH
住所 | 千葉県船橋市宮本9-10-1 |
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電話 | 047-495-8198 |
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定休日 | 水曜日 |