H-D SHOVELHEAD 1979
TINY OLD MAN
カウントを刻む
真芯への配球術
普遍的チョッパースタイルを母体にしながら、各ディテイルにトリッキーな造作を散らしている。それらはあくまでもさり気だが、『タイニーオールドマン』の作風を象徴するものでもある。その、バイクだけではないアメ車からのインスパイアを受けて繰り広げられる世界は、通(つう)の視線をひと掴みに捉えてしまう風韻が漂う。
作り手の鳥居さんが向き合ったのは、’79年式のショベルヘッド。イチから一気に仕上げたものではなく、少しずつオーナーの要望を聞いて形にしていったと言う。なのでひと息に完成させるのと比べて、自然と車体全体のバランスを取るのがひとつのポイントにもなって来た。
「最終的にどうしたいのかを探り探り聞きながらバランスを取るのが難しかったかな。別にこのスタイルがウチの王道とかではないと思うけど、しいて言うなら細かい所がそうなんですかね」
バイクとアメ車の垣根なくオールドパーツ全般が好きな氏は、そのチョイスで店の『色』が出ているのかもしれないと返答する。そしてパーツに関して今回は、フロントのガーターフォークが基点となって他の作業が進んでいった。メーカー不明のフォークはおそらく個人製作のものとおぼしき一品だったが、その精度は高く、何度も加工することなく一度バラシて組み込む程度で事足りたそうだ。
さて次に、同店固有のディテイルを押さえないわけにはいかないだろう。主だった箇所で3点あるが、まずハンドルのグリップを見たい。グリップの縁に真鍮リングをアクセントに加えているのが分かるだろうか。このデザインを踏襲したままハンドルポストの下部と、マフラーエンドにも同様の造作をアブソーブ。
要所に取り入れたキックペダルなどの汎用真鍮パーツと、これらワンオフパーツの組合せはあまりにもてらいがない。しかしこの主張することないワンオフパーツがひそかに呼応しあい、全体としてマシンの成熟度を高めている。
「ハンドルポストもちょっとだけ高くしよか言ってあとからこの真鍮のを付けたんですよ。マフラーのエンドも普通にはしたくなかったけどあんま目立たせたくなかったんでこんなシンプルなのにした」
そして最終的に、氏にとっては初の試みとなるエイジングペイントを施行。今まではその逆のアンチエイジング的色つやのある塗装を行ってきたが、今回は総量のトーンに合わせてカラーリング。現場感が高いだけに、例え初ものの手法でも訳なく支配下に置いている。
HARLEY-DAVIDSON SHOVELHEAD 1979 DETAIL WORK
HANDLE
オーナー持ち込みのハンドルをインナースロットル化。グリップ縁のリングとポスト下部は真鍮でワンオフ。
FRONT FORK
メーカー不明のガーターフォークを選択。個人製作の物と推測出来るが精度は高く作り直す必要はなかったと話す。
GAS TANK
シンプルなピーナッツタンクには同店では初となるエイジングペイントを施行。塗装は京都のベーコンが担当。
FOOT STEP
フットペグにヴィンテージのスパイクタイプを採用。シフトステーは単一で作り、オイルタンクはGME製。
MUFFLER
ミッドハイのショットガンパイプのエンドには真鍮リングを付加。全体にも散らしたひと手間加えたアクセント。
SISSY BAR
元々付いていたシッシーバーをわずかに加工。テールランプには保管していたアメ車のバックランプ用を流用。
BUILDER’S VOICE
TINY OLD MAN
住所 | 京都府宇治市炭山滝ノ元14-2 |
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電話 | 0774-84-6240 |
FAX | 0774-84-6240 |
SHOP | TINY OLD MANのショップ紹介 |
営業時間 | 12:00 ~ 20:00 |
定休日 | 水曜日 |