ショベルヘッドのロングフォークチョッパー FL 1978

H-D FL 1978
NAVY’S CUSTOM CYCLE

December 30th, 2020

迫真の姿を追った
50年前のモンタージュ

1970年代の全盛時のチョッパー。当時の空気が色濃く漂うようなリアルな一台を求めて、洋書なりなんなりを参考にしてそれを自分の中で煮詰めて再構築。そこにプラスαの香料を加えてカタチにしたものだと言う。

ショベルヘッドのロングフォークチョッパー FL 1978

製作は茨城県の『ネイビーズカスタムサイクル』。チョッパーからレーサーまで振り幅広く扱う、安定の才腕をみせるカスタム屋である。その主人の紺野さんが気を入れて向き合ったセブンティーズスタイル。金属加工に長けたビルダーのテクニックは、特にモールディングの部分で躍動している。

「車両作ってて一番苦手なのが塗る前の下処理(笑)。ペインターさんにお願いする前にサフェーサーを塗った状態で渡すことが多いんで、こういうパテのモールディングもある場合は大変ですよね」

ショベルヘッドのロングフォークチョッパー FL 1978

とは言え、このほとんどはパテではなくメタルモールディングである。鈑金したものを貼ってなめらかに成形してゆく一連の工程は、決して青二才に務まるものではないからこそ作り手の感性が可視化される部分。また、通常サフェーサー塗りはペインターに任すものだが、氏はそこまでを自分で措置する。

「僕の師匠の考えでもあるんですけど、鈑金の形状にしてもパテ盛りにしてもペインターさんと共有できない部分って必ず出てくる。そうなると思ってたカタチにならないんで自分でやるようにしてるんです。細かいところなんですけどね」

ショベルヘッドのロングフォークチョッパー FL 1978

イメージをそのまま描写するには必須の作業。例え苦手だろうが畑違いだろうが、そこに費やす労力はいとわない。紺野さんにとっては、狙い定めた照準をほんのわずかにでも外すことの方が問題ははるかに大きい。

ショベルヘッドのロングフォークチョッパー FL 1978

さて、外装である。MCペッカーズ製のツイストフォークに合わせて、シッシーバーをワンメイク。往年の資料を参考に、ツイストは細かくしないでゆるめのピッチで製作。そして市販のガスタンクは、フレームと一体化して見えるように『受け』の部分を鈑金でモールディング。他にも、この手のスタイルでは肝要となるネック周りやフレームダウンチューブ、バックエンドのプレートなどに鮮やかな処方がなされている。

ショベルヘッドのロングフォークチョッパー FL 1978

こうしたフレームへの装飾や流れるようなラインを見せ場にしつつ、最大の生命線は『全体のバランス』。タンクの位置からフェンダーの深さ、そしてシッシーバーの角度に至るすべてにおいて、作り手なりの黄金比がベースにある。そこに来て、今から50年も前の世界でそよいだ空気をはらりと、綿密になびかせている。

HARLEY-DAVIDSON FL 1978 DETAIL WORK

ロングフォークチョッパー FL 1978のハンドル

HANDLE

鋭角にベントしたセブンティーズスタイルのハンドルはワンオフ。タンクとの融和を計ったデザインに製作。

ロングフォークチョッパー FL 1978のフロントフォーク

FRONT FORK

20インチオーバーのMCペッカーズ製ツイストフォーク。ヘッドライトはアリスのスクエアを2連で装着する。

ロングフォークチョッパー FL 1978のガスタンク

GAS TANK

MCペッカーズ製をベースにしたプリズミックタンク。ペイントは海と宇宙が共存した世界観を表現したもの。

ロングフォークチョッパー FL 1978のダウンチューブ

DOWNTUBE

ダウンチューブに鈑金モールディングを施工。当時にタイムスリップしたかのエキセントリックな雰囲気を醸す。

ロングフォークチョッパー FL 1978のマフラー

MUFFLER

マフラーはアップスイープのフィッシュテイル。バックエンドのフレームプレートも鈑金で造作した部位。

ロングフォークチョッパー FL 1978のシッシーバー

SISSY BAR

‘70年代のツイストは細かいピッチが少なかったことからゆるめにデザイン。高さや角度は吟味して設計したもの。

BUILDER’S VOICE

NAVY’S CUSTOM CYCLE

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