H-D FLSTC 1999
D-club Custom Ranch
両雄が再燃させる
ガルフカラーの正義
ハーレーのエボリューションエンジンを懐に抱いたFLSTC(ヘリテイジ ソフテイル クラシック)がベースである。が、このカスタムを紹介するに当たっては、フォードGT40に触れないのは野暮だろう。
アメ車ファンの間では広く知られた、ライトブルーとオレンジのGulf(ガルフ)カラー。この全米屈指のレーシングカラーに身を包んだフォードGT40は、市販車ではなくあくまでプロトタイプとして1960年代に開発されたレーシングカーだ。そしてそのGT40のカラーリングが、今回の一台を包んでいる。
「まあドラッグレース的なバイクにして欲しいと。それだけ。色はフォードのGT40と同じカラーリングやね。いま映画(※フォードvsフェラーリ)でも旬やんか、俺も見に行ったけど(笑)。このお客さんはアメ車が好きやし、俺も好きやしね」
代表の足立さんと趣向が同じオーナーのため、細かいニュアンスなどをその都度確認する必要もなくアウンの呼吸で作業は進む。また、GT40にならったカラーリングについてはタンクとフェンダーの外装は塗装とし、エンジンやホイール、フォークなどはプロショップからの評価が高い同店のパウダーコートで処理された。
さて、外装に目を移したい。タンクとリアフェンダーはスチールでワンオフしたもので、極力ロースタイルのデザインにまとめることでドラッグレーサーの雰囲気を演出。それは車高がわずか40インチ(1,016mm)であることから名付けられたGT40のカラーリングと相まって、勝負を決する世界特有の緊張感も漂う。
その作りにもひねりが効く。ダウンチューブを覆ったカバーはサブタンクとなり、メインのガスタンクから燃料がなくなればポンプで吸い上げる仕組みを導入。国産バイクによく見られる燃料ポンプがサブタンクに仕掛けられている。
「上だけだと少ないんでそうしてる。ツーリングに使うばっかりやから。メインがなくなったらスイッチオンにしてサブタンクから給油されると。それでも両方で13リットルぐらいしか入らんかな」
全体のレーシーなスタイリングを受けて、フットコントロールは前傾姿勢を強いるバックステップという徹底ぶり。エンジンにはS&S製スーパーサイドワインダーの113cu.in.(1850cc)を搭載する。
「街乗りも出来るドラッグレーサー。でも俺は振動で長く乗っとられんけどね(笑)」、とタフな乗り味を語る足立さんだが、オーナーはこの一台でロングツーリングもこなすほどに円熟に結びついている。
HARLEY-DAVIDSON FLSTC 1999 DETAIL WORK
FRONT FORK
フロントフォークは4インチオーバーで、同店のパウダーコーティングを施行。ヘッドライトはV-ROD用を流用。
SUB TANK
ダウンチューブを覆うボックス内は燃料のサブタンクとなる。メインが無くなればポンプで吸い上げ供給する。
GAS TANK
スチールでワンオフした手の込んだストレッチタンク。塗装はフォードGT40のカラーリングを反映させたもの。
ENGINE
エンジンはS&S製スーパーサイドワインダーの113cu.in.(1850cc)。色入れは全て同店のパウダーコート。
MUFFLER
ポールヤフィーデザインのスーパートラップXパイプを使用。エンド部のみ加工してカスタムテイストを増す。
REAR FENDER
シートマウントとリアフェンダーが連携したデザインのリア周り。フェンダーストラットはスムースに処理。
BUILDER’S VOICE
D-club Custom Ranch
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