H-D SHOVELHEAD 1978
INFINITY,
旅立ちにいななく
熟成させた上澄みの輪郭
米国コロラド州の著名カメラマン、マイケルリクター。これまで世界のハーレーシーンの最前線でシューティングしてきた彼の名前は、ことにカスタムビルダーの間では意味ある響きを持っている。そんな氏による2019年横浜ホットロッドカスタムショーの『Michael Lichter’s Pick』がこちらの車両だ。
まず作り手の土野さんが無地のパノラマに思い描いたのは、1920年~’30年代のボードトラックレーサー。昔からこのデザインに惹かれていた氏は、いつか自分が独立したらこの形を本気で作りたいと長くあたためていたものだそうだ。
パンヘッドのレプリカフレームを骨格に、全方位まったく隙の無い作り込みで貫徹(かんてつ)。「妥協はしなかったですよ」と、まるで口笛を吹くような気軽さで話す氏を横目に、途方もなく手の入ったマシンとのギャップに思わず背筋がぞわっとあわ立つ。
さて、最初からこの選択しか考えていなかったと言うホイールは、前後19/18インチを装着。そしてフロントにレプリカのVLフォークを使い、そのフロントレッグのみを幅詰め加工。ハンドルは今回のイメージに沿ってトップティー横から下側へクイッとゆるやかに曲げたワンオフである。
フットコントロールやマフラーといった主要パートの造形も勿論したたかだが、何よりタンクだろう。オイルタンク内も実はガスタンクとなる2個体制のそれは、自身もツーリングを好んだライダーゆえの構造である。
「ガソリン容量は僕の中でかなり重要視してて、少ないとそれがツーリングの時とかにストレスになってきちゃうんですよね。あとはまあ、とにかくこのエンジンの隙間って言うんですか、それを作るのが大変でした(笑)」
立体物は横から見た時だけでなく、前や後ろ、斜めから見てバランスが取れてないといけない。そのためには至って細やかな調整を続け、しかるべき位置に着地させる必要がある。また過去の焼き増しではつまらないため、メーターにはヴィンテージではなく現代のテクノロジーが活きたモトガジェット製をはめ込んでいる。
「あとロゴのデザインもちょっとした線の長さや形で全然印象が変わって来るので、出来るだけラインを手前で引いてバランスを取ってもらってます。その辺のコダワリもやっぱり詰まってますね」
土野さんの言葉には説得力がある。それは大きな碇(いかり)のように重い説得力だ。すべての船はその大きさと重さにふさわしい碇を持っている。
HARLEY-DAVIDSON SHOVELHEAD 1978 DETAIL WORK
HANDLE
汎用トップティーにボードトラックレーサーをイメージしたハンドルを接合する。仕上げはパーカライジング。
FRONT FORK
レプリカのVLフォークを使いフロントレッグのみ幅を詰めて調整。その後違和感ないようにモールディング処理。
GAS TANK
スマートなスピードフォルムに成形。アンダーパネルはエンジンロッカー形状に合わせてツライチで製作される。
FOOT CONTROL
操作系も全てワンオフで、時代考証を踏まえて各部のネジにマイナスを多用。ポイントカバーにFORK製を選択。
MUFFLER
右側をシンプルにしたかったため左出しに。カスタムショー後に作り直し最終的に落ち着いたトリッキーな造形。
OIL TANK
本来ある場所のオイルタンクはガスタンクで、その横にオイルタンクを設置する。ガソリン容量を稼いだ施策。
BUILDER’S VOICE
INFINITY,
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