ハーレー ロングフォークチョッパーのエボリューション1984

H-D EVOLUTION 1994
SHIUN CRAFT WORKS

November 10th, 2019

夢中がとび起こす
She Drives Me Crazy

「女性オーナーなんですけど、数年前にウチで作らせてもらったバイクのモディファイです。前はどっちかって言うともう少し男くさいイカツイ感じやったんですけど、今回はサイケデリックというか、いかれた感じのバイクにして欲しいと(笑)」

ハーレー ロングフォークチョッパーのエボリューション1984

チョッパービルドに全霊を注ぎ込む、神戸シウンクラフトワークスの松村さんに課されたミッションである。物作りに一途なその姿勢は時に神々しくさえあり、ゾーンに入った際の氏にはうかつに近寄れないピンと張り詰めた空気すら漂う。

全体的なチョッパーのシルエットは例によって上質。そして、決して外すことない黄金比のボディを構成するディテイルが見ものだ。アイキャッチにもなる真ん中がぽっかりと空いたタンクからいってみよう。

ハーレー ロングフォークチョッパーのエボリューション1984

「なんか変わったことしたいなと。これ夢で見ました、夢に出てきたんです。それですぐ起きて絵に描いてその日のうちに作りました(笑)。タンクをへこますのはよくやるんですけど、それの更に進化版って感じです」

ハーレー ロングフォークチョッパーのエボリューション1984

まず用意したのは、すり鉢状に鉄板を加工した左右二つのパーツ。それをお互いのボトム部分が合うようにしてからワンピースに溶接。そこからあらかじめ真ん中を切り抜いておいたピーナツタンクに、左右の端の外周がフィットするよう鉄板を成形して溶接である。簡単に言うと一連の流れはそうだが、当然一朝一夕にいく箇所でないのはお約束。腕に覚えのあるビルダーにのみ限られたフィニッシュブローだ。

ハーレー ロングフォークチョッパーのエボリューション1984

他にも、ペイントがドラマチック。一見ピンクに見えるカラーは濃度の違う赤系の3色を使いわけたものである。陶器からインスパイアされたと言うカラーリングは、ふちの方だけ薄っすら白く、窪んでいる箇所が濃いというあのイメージから再現。薔薇結晶という結晶の色をソースに、全部ぼかしで調和させていき、間近で見ると透き通った瀬戸物のような質感を表現している。

ハーレー ロングフォークチョッパーのエボリューション1984

押さえたいのは最初からピンクを使ったのではなく、赤系を使い分けることで狙い済ましたピンク色に彩った工程だ。なるほど、こうしてディテイルを追えばとめどないが、しかし、シウンの真骨頂はやはりチョッパーでもすこぶる乗りやすい点に尽きるだろう。

「エンジンミッションやトレール量、バネレート、ブレーキなどの調整は基本の基本の大前提。チョッパーだから乗り難いはあり得ない。やっぱりバイクなんでまともに走れないものはゴミですから」

HARLEY-DAVIDSON EVOLUTION 1994 DETAIL WORK

ハーレー ロングフォークチョッパー1984のハンドル

HANDLE

ハンドルは鉄でなくステンで製作。カスタムショー間近でメッキが合わなかったからというエピソード付き。

ハーレー ロングフォークチョッパー1984のフロントフォーク

FRONT FORK

かつて名品のデンバーズフォークを作っていたアメリカ人に依頼。12インチオーバーのスプリンガーフォーク。

ハーレー ロングフォークチョッパー1984のガスタンク

GAS TANK

ハイライトの一つとなるガスタンク。夢で見た造形をすぐ起きてスケッチしてその日のうちに具現化したもの。

ハーレー ロングフォークチョッパー1984のフットコントロール

FOOT CONTROL

全体のモディファイを機に、フォワードからミッドコントロールに移行。女性オーナーでも操作性の問題はない。

ハーレー ロングフォークチョッパー1984のマフラー

MUFFLER

アップスイープに途中6つのリップルデザインを挿入。エンドには真鍮削り出しの飾りをワンポイントに添える。

ハーレー ロングフォークチョッパー1984のシッシーバー

SISSY BAR

要所のディテイルとバランスを取るようにシッシーバーにも手数が加えられる。やり過ぎない好適な造形。

BUILDER’S VOICE

SHIUN CRAFT WORKS

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