INDIAN MOTORCYCLE SCOUT 1927
CREAM MOTOR CYCLE
水平に走り続ける
フォーリンエンジェル
クリーム店主の佐久間さんが掲げたテーマは、『ウォールオブデス』。なので、まずはそれが一体どういうものなのか、そこからスタートを切りたい。
樽のような形をした木製の円筒型の中を、バイクでグルグルと、地面と水平に走り回る光景を目にしたことはあるだろうか。これは1930年代に全盛を誇ったスタント(曲芸)の一種で、いまでも各国のバイクイベントで行われる伝統的催しだ。そしてそれが、『ウォールオブデス』である。
1900年代初頭まで、当時そこで最も広く使用されていたのがインディアンのスポーツスカウトだったが、今回の一台も同じくスカウトの’27年式。歴史的背景もピタリと合致したこのマシンから匂い立つ、往年の輝かしい残り香が全体を包み込み、一種特別な磁力を帯びている。
「いまとは全然違う形でした。もうバラバラ。だからピースだけ使ってですね。フレームにもほとんど手を入れてやってます。だって最初見た時はひいちゃいましたから。うわあだせえみたいな(笑)」
通常この年式であれば現状の通り、タンクがメインチューブ下に収まるのが普通だが、当初はメインチューブ上に乗せられた状態。そのためそれをまずノーマルに戻すべく、フレームのメインとその下のサブパイプ、シート下周りを加工してレプリカタンクを設置した。
インディアンのパーソナリティでもあるフロント周りはどうだろう。フォークは101(ワンオーワン)モデルの純正を使い、ハンドルは市販のフランダースレプリカの幅を詰めて装着。ライザーは知人が鉄を削り上げたワンオフで、塗装無しの地肌でコンプリート。佐久間さん曰く、全体的に作り物という作り物はしていないと言う。
「やっぱりエンジンじゃないですか。まだ中は何もやってないんでこれからですけど、造形がカッコいいじゃないですか。もちろん乗ったら面白いですし。なんだろう、とにかく気持ち良いんですよ(笑)」
ハーレーと比べてエンジンが高回転まで一気に回り、どちらかというとトライアンフ寄りのその乗り味に惹かれるそうだ。更に氏は、スカウトのきわだった取り回しの軽さについてこう続ける。
「ホイールベアリングとか足周りとかですかね。あとは全体のバランス。良いバイクです(笑)」
ポンポンとリズミカルに言葉を発するわけではないが、しっかり自分の体重をのせて話す氏のインディアン愛を前にすると、冬の青空のような気持ちで満たされる。
INDIAN MOTORCYCLE SCOUT 1927 DETAIL WORK
HANDLE
フランダースレプリカの幅を詰めたハンドルは、ワンオフのカニ足ライザーで支持。塗装無しの鉄地肌で完遂。
FRONT FORK
オールドインディアンの特徴的なリーフスプリングフォーク。101タイプを流用してインディアンレッドで統一。
GAS TANK
骨格周りをモディファイし、タンクを本来あるべきフレーム内にマウント。シートマウントは鉄でワンオフ。
MUFFLER
マシンのテイストと見事なマッチングを見せるワンオフマフラーをブラックアウト。排気口は下に向けられる。
ENGINE
造形と乗り味に魅了されたエンジンはこれから作業に着手するとのこと。キャブにはシェブラー製が付く。
REAR FENDER
リアフェンダーは元々付いていた物をショートカット。普遍的インディアンレッドで鮮やかにまとめ上げる。
BUILDER’S VOICE
CREAM MOTOR CYCLE
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