YAMAHA XS650 1978
RODSTAR
アルミに託す
流れるスレンダー
‘78年式XS650をベースに、ロッドスター永井さんの情熱がたっぷりと注がれた一台。コンセプトは、『流れるラインの未来的なフォルム』。そんな氏の描いたボディシェイプばかりか、艶やかな金属の質感にも目を奪われるクラッシュホットだ。
「今までリジッドフレームだったものに、手を加えてサスペンション機能を追加してます。やっぱり実際に走ってエンジンの乗り味を楽しみたいんで」
一昨年の2017ホットロッドカスタムショーに出展したマシンをモディファイしたものだそうだ。全体に渡り見所は尽きないが、まずそのリアのサスペンション周りから話を聞いてみた。
「サスの構造を見せないようにするのと、スイングアームをなにか違う感じにしたかった。何て言うんでしょう、普通は平行に持っていくんですけど、それだと面白くないから上から取り回したというか」
いろいろ模索した結果完成したそれは、平行ではなく斜めにかたどったオリジナル。もちろん見かけのインパクトだけではなく、当初の目的通り『走り』の旨味は巧みに引き出されている。さて、お次は永井さんが最近凝っているというアルミパーツに移ろう。
タンク上面に載るオーナメントと、それとつながるシートカウル。その下に配した電装ボックスやリアフェンダー代わりの泥よけなど、単にパーツとしての存在感だけではない、ウットリするような曲線美に息を呑む。しかし他に、フロントマスクやアンダーカウルに関しても、すべて地味な作業を繰り返して仕上げたものばかりだ。
「基本、鈑金、溶接、削りのみ(笑)。まあ大変と聞かれればそうかもしれないけど、今回は何気にハンドル周りかもしれない。メーターを収納するケースですね。ハンドルとこれをステンレスで作ったんですけど、溶接すると熱で歪みが出ちゃうんですよ」
歪めばメーターは入らなくなる。そのため焦らず慎重に、一番気を付けた箇所だと思う、と氏は工程を振り返る。ダイナミックに姿を変えたスイングアームやアルミパーツではなく、メーターを入れるただの丸いケースというのが意外ながら、リアルな現場の作業風景を夢想させてくれる。
「鈑金でパーツを作って溶接して削って、出来るだけ一体感を出せるようにした」
こうしたオートメーションにはない体温が伝う仕事には、そこに費やされた作り手の熱量やロマンがにじむからこそ、見る人の心が強く引き付けられる。
YAMAHA XS650 1978 DETAIL WORK
HANDLE
ハンドルとメーターケースはワンオフのステンレス製。ケースは熱で歪まないよう細心の注意を払った箇所。
FRONT FORK
フォークは純正で、ヘッドライトマスクはアルミで成形。外装パーツ同様に、フレームも有機的なラインを描く。
GAS TANK
鉄で製作したタンク上面にアルミのオーナメントをフィッティング。リアへと続くラインには色気すら漂う。
UNDER COWL
アンダーカウルに、ウインカーステーを兼ねたカウルをダブルで装着。カスタムの完成度を高めるセクションだ。
SEAT COWL
アルミで製作したシートカウル。ガスタンクからの流れに逆らわず流麗に、そして立体的なデザインにメイク。
REAR FENDER
鉄製ステーとアルミ材を組み合わせたリア周り。雨天時に大変だったことから気持ち程度のフェンダーを付帯。
BUILDER’S VOICE
RODSTAR
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