H-D EL 1944
LUCIFER CHOPPERS SANCTUARY
ひとネジリからの
躍動する神秘なリズム
ロングフォークチョッパーの製作に長けたショップは数あれど、今回紹介する福島のルシファーは、その中でも指折りのビルダーとして強烈な閃光を発し続ける存在だ。情熱に弱く、『漢(おとこ)』の文字がぴたりと符合する店主の中澤さんは、この手のロングフォークに携わる人特有の器の大きさを覗かせながら、目の前のチョッパーについて語ってくれた。
「テーマもなにも、どっちかって言うとロングフォークしかない。ナックルでロングみたいな。まあ昔は長ければ長いほど偉いというのは多少あったかもしれないけど、今はバランスですね。長けりゃ良いわけじゃねえぞって」
乗ってつまらないバイクでは意味がない。乗って楽しい見てカッコいいが一番だと、聞き手をぐっと引き込む飾り気のない言葉で、氏はこちらの質問に応じる。
「このツイストは普通にガスで炙ってひとネジリひとネジリしていく感じ。細かいのにするか広いのにするかでも違うけど、だいたい1メートルネジルのに1時間ぐらいかかるのかな」
見せ場はやはり、至るところに施された圧巻のツイスト。芸術的ともいえる精緻な加工の連打は同店のお家芸だが、ワンオフパーツを作るにも、まずはツイストさせた素材を用意するところから始めないと先へは進めない。
例えば、通常シッシーバーやステーの製作は丸棒を炙って成形すればOKだが、こちらはツイストさせてからようやく加工がスタートする。フォークにしても左右の長さを整合させた2本のネジリ棒を用意したり、サイドスタンドやペダルに至るまで全てがそうである。そうしたミスの許されない細かい計算と、根気のいる作業を持って初めて眩い輝きを生むツイストパーツの舞台裏。その事実を知るほどに、作り手の熱狂に心が揺さぶられる。
そしてもちろん、バランスだ。昔ながらの手法で組んだというフレームは、イチから全部作るのではなくベースとなる骨格を元に遥か上方へストレッチ。そこに24インチオーバーのフロントエンドを装着し、ハンドル、タンク、シッシーバーといった主要な部位を、腕一本でのしあがってきた中澤さん独自の黄金比で調律。それら飛び級のテクニックが根底にあってこそ花開くロングフォークだが、当の本人は最初に見せた印象そのままに、やはり一貫して混じりっけがなく、分厚い。
「凄いことやってるとかじゃない。もうこの野郎! チキショーって思いながら作ってるだけですから(笑)」
HARLEY-DAVIDSON EL 1944 DETAIL WORK
HANDLE
ライディングスタイルを考慮して手前に大きくベントさせたシックスベント。全体のバランスも司っている。
FRONT FORK
ツイストを駆使してすべてワンオフした24インチオーバーのフロントフォーク。ホイールはインベーダー。
GAS TANK
オーナーの要望でグレイトフルデッドのグラフィックが入る。塗装はキングスカスタムペイントが担当。
ENGINE
エンジンはクランクケースまでフルポリッシュ。エンジンハンガーやステーの至る所にツイスト加工が炸裂する。
REAR END
フェンダーやマフラーエンド、シッシーバーなどをひとネジリひとネジリ丹精込めたツイストデザインで統一。
SISSY BAR
決して機械加工に頼らず手作業でツイスト。あくまでもハンドメイドにこそ『美』は宿ると氏は持論を持つ。
LUCIFER CHOPPERS SANCTUARY
住所 | 福島県郡山市片平町字水上27 |
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電話 | 024-973-7680 |
FAX | 024-973-7680 |
SHOP | LUCIFERのショップ紹介 |
営業時間 | 9:00 ~ 19:00 |
定休日 | 不定休 |