H-D FL 1954
XTREME CYCLE
しろがねチップの
ダウンタウントレイン
膨張色の赤で全体を覆いながらも間延びさせず、逆に、コンパクトに引き締めたボディが肉感的な美をたたえた’54年式のFLである。製作は新潟のエクストリームサイクル。メディアへの露出は低いものの、カスタム業界に長く身を置いた実力派だ。
「お客さんの望みのカタチにしてます。シンプルにまとめて、長く付き合いながら楽しめるようにと。ポイントはタンクの塗装でしょうか。お客さんの職種が貨物列車の運転手なので、その列車をアメリカっぽく表現してもらってます」
塗装は新潟のライズが担当。そして、その素材になるワンオフタンクに店主南浦さんのスタンスが反映。後々のことを考えて、通常はカットするフレームの純正マウントステーを残しつつ、むしろそこに効果的にタンクを固定している。
横から見ると分かりやすいが、ちょこんと前後二ヵ所でマウントした内の前側は、一本ではなく並列した左右二本でボルト留め。デザイン的な面もそうだが、せっかく留めるなら燃料が入ってもネジ山が抜ける心配がないのを考慮してだ、と氏はさらりと言う。また、刮目すべきはこちらにもあるようだ。
「凝ってるとしたらタンクのフェンダーチップのアクセントですかね。丸棒でリブを形作って、その中にチップと同じサイズの鉄板を切り出して土台に溶接して、そこに市販のチップを成形して付けてます」
ここまで芸の細やかなディテイルを演出するテクニックがあれば、他のたいていの物作りの労苦は問題になってこない。例えば、シッシーバーである。トップのツイスト加工などはやはり造作もなく、フレームへの固定箇所もまた同様。
まず差し込み式の下の受け皿を旋盤で引いて形取り、その内部のシッシーバーが差し込まれる部分を空洞に切削。そして、受け皿にバーを差し込んだ後は溶接で盛ってスムージングし、それをフレームへ六角ボルトで巧みに固定。そのフラッシュマウントを思わす美しい仕上げに、作り手のレベルをほんのり覗かせるところがまた心難い。
「得意技というわけではないですけどやっぱり(笑)。でも私自身がそんなに作り込んだものはないんですよ。なんかシンプル過ぎてもあれかなと思いまして」
終始、至って綺麗な日本語で南浦さんはそう説明する。お客さんの要望のままに。だけど、自分を選んでくれたことへのちょっとした謝意もバイクに添えて。力まないからこそ映えるそれは、確かな作り手に限られた特権でもある。
HARLEY-DAVIDSON FL 1954 DETAIL WORK
HANDLE
ハンドルはハウントモーターサイクル製を装着。汎用ドッグボーンライザーのゴムブッシュ下をエクステンド。
FRONT FORK
フロントフォークはW&W製74スプリンガーをセットし、ヘッドライトにヴィンテージのシカゴ製を選択。
GAS TANK
ピーナツタンクのトップに丸棒でリブを入れ、その中にフェンダーチップと貨物列車モチーフの塗装が入る。
SEAT
シートは店主南浦さんと交流の深い山形県のプランJが製作。トラディショナルなステッチパターンを踏襲。
FOOT CONTROL
余計な装飾の無いシンプルなフットコントロールは鉄棒でワンオフ。ペグにはVツイン製Dスタイルを使用。
MUFFLER
アップスイープのフィッシュテイル。マフラーはパウコ製で、サイレンサーは東京サイコサイクルのオリジナル。
BUILDER’S VOICE
XTREME CYCLE
住所 | 新潟県新発田市曽根36-2 |
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電話 | 0254-20-8814 |
FAX | 0254-20-8814 |
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定休日 | 月曜日 |