HARLEY-DAVIDSON FXE 1980
URAWUS MOTOR CYCLE
シートと落ちる
フォーリンラブ
コンパクトでスタンダードなリジッドチョッパー。当初のコンセプトは基本に忠実なものだったが、着工したタイミングがいけなかった。それは、今年のカスタムショー『ジョインツ2018』が開催されるちょうど半年前。作り手であれば嫌でも意識せずにはいられない絶妙なタイミングである。もちろん、店主の鈴木さんも例外ではなかった。
「出すにはちょうどいいなって。それでお客さんに出展させて欲しいということで、アレンジしても良いかを聞いたんです。そしたら全然良いですよって」
そこから一気にショーに向けた、ガチのカスタムが始まった。全体のシルエットこそスタンダードを維持するが、各ディテイルに同店の秘儀が凝縮される。特にシート。スプリングで中空に浮かしたフォームがかなりのインパクトだ。
「ソロシートでいく予定だったんですよ。あんまり後ろに乗せることがないってことだったんで。それでソロシートの下の鉄板をちょっと長めに作っておいて、それをそのままポンと載せてバランスを見てたんです。ちょうど今の形みたいに」
最後に切る予定だったそこはしかし、意外にも採用された。結果ソロではなくダブルシートでいくことになったが、出来ればフェンダーに穴は開けたくない。そんな難題も、スプリング支持という斬新なアイデアをもって解決した。
「長めに残しておいた形がなんとなく頭の中にあった。だからスプリング付けても結構いい感じになるかもみたいなのはありました(笑)」
この発想を具現化することからもうかがえるが、なかなかの物作り狂である。そしてそれは、やはり他の部位にもクリアに現れている。まず、フェンダーステーやハンドルに注目したい。
単一の素材で簡単に仕上げるのではなく、複数を組み合わせたワンオフだ。フェンダーステーは、丸棒ともう一回り太いパイプを用意してそこに挿入、トップには12mmの平板を使った3ピース構造だ。そして同じくハンドルも、1インチパイプと一回り大きいパイプをつなげて均したものである。
プライマリーやハンドシフトの技巧的作りも見逃せない。いずれも『得意』というよりは『好き』の方が勝った感のある丁寧な加工である。そしてオリジナルで販売するペグからも、商売っ気より、不思議とその好きさ加減の方が真っ直ぐに届いてくる。
カスタムは嘘をつかない。作り手の人となりをつかむには、バイクを一周ぐるりと見渡してみれば理解が早い。
HARLEY-DAVIDSON FXE 1980 DETAIL WORK
HANDLE
1インチのスチールパイプを用意し、中央の一回り太いパイプに挿入。溶接後に表面を研いで均して仕上げる。
ENGINE
エンジンは1200から1340ccへアップ。バタフライキャブに、鋳物パーツメーカーFORK製のカバーをセット。
OPEN PRIMARY
ワンオフのプライマリーカバーはオリジナルペグに合わせてスロッテッド加工。丁寧な処理が同店のカラーだ。
HAND SHIFT
横ではなく縦のリンケージとされたハンドシフト。支点のデザインやシフトのスロッテッドなど見所は多い。
MUFFLER
シンプルなポーカーパイプはワンオフ。プラグホルダーを兼ねたオリジナルの鉄ペグがアイキャッチとなる。
SEAT
偶然が身を結んだダブルシート。フェンダーに穴を開けず、スプリングで中空マウントとした斬新なディテイル。
BUILDER’S VOICE
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