HONDA CB750 K2
SPIKE CHOPPERS
誰の手も借りない
孤高のハードヒッター
根っからのロングフォーク屋。心からのチョッパービルドである。この手のバイクに漂うアウトサイダーな雰囲気が作り手から伝染するものだとすれば、間違いなくこのK2は、かなり高い次元で危うい。そしてなんといっても、徹底した作り込み。がさつな箇所は皆無で、見とれるほどクリーンなプロポーションに仕上げられている。また、ペイントまでの一切をたった一人で行う理由も簡単で、他人にやらせたくないから。ただそれだけだ。
「なんでCBなのかって? 俺がやってみたかったからだよ。昔の雑誌とか見るとやっぱあるもん、デンバーズだっていじってたしさ」
代表の金子さんはハーレーではなくCB750を使って、かの時代に思いを馳せた。もちろん半端な馳せ方ではなく、すべてをワンメイクしたとびっきり。工場に足を踏み入れれば分かるが、一から十まで、まさにすべてが神聖なまな板の上で料理される。
今回は特に、フロントフォークが見せ場だろう。名品ハーマンフォークに倣ったオリジナルは、専用ジグを製作することからスタート。なかでもロッカーの部分には相当頭を悩ませて、納得ゆくまで何度も作り直している。ひと言で『動きの改善』といえばそうだが、機能性や耐久性など、端的には表現できない労力をどっぷりと費やして完成させたパートだ。
20インチオーバーのフォークには、前後21/16インチのインベーダーホイールを装着。ストレッチしたフレームと均衡する見事なトライアングル型のシルエットは、キャンディとフレークを使ったペイントでフィニッシュ。「昔のペイントを真似しただけ」、という氏の手により、クオリティに厚みがもたらされる。
10代から鈑金屋に身を置き、その傍らでずっとバイクを作っていたという氏だが、当時の対象は族車だったと言う。では、いつからスイッチが入ったのだろうか。
「昔のチョッパーマグもそうだけど、バイブズとかかな。そこでワイルドロードの阿部さんのバイクを見てからだよ。憧れたよね、今でも尊敬してるもん」
誰もが憧れの人の前ではそうであるように、金子さんもまた、知って10年ぐらいはやはり近寄りがたかったと過去を振り返る。新潟のアウトサイダーとして鳴らした氏の、知られざるバックボーンだ。
「ロングフォークは人生そのものかって(笑)? じゃないの。相棒じゃねえかな。やっぱみんなにチョッパー乗ってもらいたいよ。あとCBも盛り上がるといいね」
HONDA CB750 K2 DETAIL WORK
HANDLE
ガーターフォークとの相性良好な手前にベントしたスリムなハンドルはワンオフ。アイキャッチにも映える。
FRONT FORK
名品ハーマンフォークをイメージソースとしたオリジナルのガーター。精度を詰めた20インチオーバー。
GAS TANK
フレームと違和感なく同化するタンクも勿論ワンメイク。カラーはキャンディとフレークを使用して塗装。
ENGINE
CB750の心臓部。吐き出される甲高い音がポイントとのこと。シート周りの滑らかなフレームワークも必見。
SISSY BAR
トップにはベアリングの球をつなげたアクセントを用意。ハーレーロゴをパロったHONDAもユニークだ。
REAR WHEEL
米国から取り寄せた16インチのインベーダーホイール。リアエンドのフレームワークにも高度な質が追究される。
BUILDER’S VOICE
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