TRIUMPH BONNEVILLE 1970
LIBERTARIA
崖っぷちで狂気する
いつもの全部乗せ
リバタリアがさわるマシンはいつだってこうだ。スリムでシャープ、ほどよく締まったボディからはいやがおうにもスピードの気配が漂ってくる。そして、一番の見せ場となるエンジンはきまってカリカリのチューンド。この店に関しては、外装の見晴らしの良さはどちらかといえばオマケに過ぎない。
‘70年式ボンネビルは、同店で修業するメカニックの愛車だ。その彼が元々憧れていたトラックマスターフレームの完成車を買い、エンジンから外装までをひと通りやり直したものだと代表の藤久さんは言う。
「最初は千里浜もロードも走るレース用にと考えてたんで、とにかくパワーを出そうと。マフラーの作り方とかも普通は独立管だけどトルクが出るように中間パイプを付けて集合みたいにしたり。でも結局は街乗り車になってしまいましたけどね」
オールドトライアンフの魅力に憑かれた氏は、そのままこちらの質問に対して、得意のエンジンの話で返す。
「あとはヘッドのチューニングですか。センタープラグにして、燃焼室の形を変えてとか。まあエンジンは全部やってますね。腰下は温存というか耐久性重視で、上はとにかくパワー重視、ぶっ壊れてもいいように(笑)」
ボアは650ccのシリンダー内壁を最大限まで広げ、その肉厚をわずか2ミリ前後まで追い込んだと言う。『ぶっ壊れてもいい』は単なる笑い話ではなく、レースに携わるショップの本気だ。
ピストンは、基本オーバー60までしか使わない同店だが、今回はオーバー80をセットアップ。そのままでは当然重さが変わってクランクの回転に影響を及ぼし、またクランクバランスも悪くなることから、ピストンを軽くしてバランス調整。オーバー60よりも軽くなるまでひたすら肉抜きと削りを繰り返し、『下もある高回転型』という得も言えない乗り味に持っていった。
「ミッションも4速から5速にコンバートしてる。あとはチェーンですね。530から520にしてるんでもう全然。重さ自体が違うんで断然パワーロスがない。スピードですか? 吸排気もやってるんで、まあ速い。一番最初のテーマがそこだったし。でもこんな感じで、ウチはいつもの分かりにくいところばかりかな(笑)」
耐久性を度外視して、来たる一瞬にいかに発狂するか。入口がレースユースだったこのボンネビルには、そんなはかなくも過激に散る美学が原泉にある。
TRIUMPH BONNEVILLE 1970 DETAIL WORK
HANDLE
アーチバータイプのハンドルはWEBCO製。ライザーも同じく名品のセリアーニ製でソリッドな雰囲気を醸す。
FRONT FORK
フォークにセリアーニオールドGPを選択。間違いの無いパーツチョイスで堂々たるフロント周りを構成する。
GAS TANK
タンクはヴィンテージのワッセルタンクを加工して装着。ピンラインはBACK AND FORTH STUDIOが担当。
ENGINE
キャブはケイヒンCR33φ。見た目と軽量化でシリンダーフィンは8枚あるうちの下2枚を切り落として整形。
FOOT CONTROL
余計な装飾を廃したステップ造形。プライマリーはフラットトラックレース用の発電機が無いタイプをマウント。
SEAT COWL
シートカウルはNICE! MC製で、風合いの良いシートをフィッティング。『虎』の文字がアイデンティティ。
LIBERTARIA
住所 | 埼玉県戸田市美女木3-20-5 |
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メール | support@19joe.com |
SHOP | LIBERTARIAのショップ紹介 |
営業時間 | 11:00 ~ 20:00 |
定休日 | 火曜日 |