HARLEY-DAVIDSON PANHEAD
KURUMAZAKASHITA MOTOCYCLE
とらえて離さない
狙った先の夢の階段
「オーナーからはそこそこやりたいようにやって良いって言われてたけど、結果的にもう少し突き抜けても良かったのかなと。いつもの車坂下を抜け切れていないというか(笑)。ショーバイクとして、ショーしか見てませんっていうのを作りたかった」
やはり乗り物としての面を気にしてしまったと、店主の野呂さんは続ける。しかし、それで良い。それこそが、これまで車坂下が育んできた持ち味なのだから。
アルミ叩き出しの外装に、作り手の本気が露骨に現れている。バイク本来の旨味を殺さず、タンクからリアへとつながる有機的な造形はやはり同店らしい。
「今回は『金魚』みたいなイメージになった(笑)。ひれが長い金魚。ラインを作っていったときに、あっ、これは金魚だなと。でもそのままやっていったら、言うほどそんな感じにはならなかったけど」
エクステリアは、まずタンクの製作が起点となった。前後にほどよくストレッチした特徴的なシェイプの流れを受け、そのままリアタイヤを覆うフェンダーへとコネクト。これは、最初にアルミの無垢棒でアウトラインを形成しておき、そこに鈑金で仕上げておいたプレートを溶接したものだ。また、それですべてを覆うのではなく、アイキャッチ用にシート下はあえてフレームを見せるなど、緩急の使い分けもこなれている。
「メンテも考えるとそれぞれのパーツが取りやすいように。全部取らないと出来ませんじゃなくて。でも結局は、ひとつずつ取るのもまとめて取るのも一緒かなと思ってそうしなかったけど」
ショーのみではなく、結局は先々のことを考えた作りが本流。そしてショックだったのは、ノーペイントの上を舞う『ど』シンプルな黒のピンラインだ。ここまで作り込んでおきながらのそれは、いじらしいほどの大人の余裕が漂う。
「でも実際は、余計なことをしないようにグッとこらえた。もうギリギリのところ。どうしようか最終的な落としどころはすごく悩んだ」
余裕なんかではなく忍耐のすえ実を結んだ、ホットロッドカスタムショーでの『2017 Art of Speed’s』アワード。しかしそれは、あくまでも通過点に過ぎない。本来の目的は、アメリカのカスタムショーへの参戦、そこでのナンバーワンにあると言う。
これからモディファイを加えて世界に挑む、車坂下の野望。空を見上げれば、星のまたたきは光のしずくがこぼれ落ちてきそうなほどくっきりしている。
HARLEY-DAVIDSON PANHEAD DETAIL WORK
GAS TANK
前後にストレッチした叩き出しのアルミタンク。トップのリブを最後に付け、黒のピンラインでフィニッシュ。
ENGINE
エンジンは1200ccで要所をブラックアウト。Bキャブにハントのマグネトーを装着。キャブカバーはFORK製。
MUFFLER
左右出しのマフラーは、リアエキゾーストをワンオフのオイルタンク下にきわでくぐらせて左側にマウント。
OIL TANK
アルミの無垢棒で囲った、デザイン性の高い造形のオイルタンクもワンオフ。スイッチ系も一か所に集約する。
FRAME WORK
まるでスリットからのぞき出たかのセクシーなフレームライン。狙い通りのアルミ外装によるアイキャッチ部。
REAR END
有機的かつ、相反したスペーシーな印象も併せ持つリアエンド。アルミ叩き出しによる渾身のセクションだ。
BUILDER’S VOICE
KURUMAZAKASHITA MOTOCYCLE
住所 | 埼玉県越谷市南荻島4015-9(Google MAPを開く) |
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電話 | 048-940-5118 |
WEB | KURUMAZAKASHITA MOTOCYCLEのウェブサイト |
営業時間 | 10:00 ~ 20:00/11:00 ~ 18:00(カフェ) |
定休日 | 木曜日、第3日曜日 |