HARLEY-DAVIDSON FL 1951
FRANTIC METAL ENGINEERING
飽食を嫌う
中世のデコレーション
「このチョッパーのオーナーが友達なんですけど、もうロングフォークしか似合わないだろうと(笑)。勝手に俺が判断して作ったって言うか、もうロン毛で髭の、『いかにも』って感じなんで」
長いチョッパーという要望は受けていたものの、他は店主谷本さんの好き勝手に製作した’51年式パンヘッドである。もちろん、長いだけではなく、屋号に『メタルエンジニアリング』を謳う同店ならではの緻密な作り込みが見どころだ。
上方にストレッチしたフレームには前後21/16インチのホイールを装着し、フロントエンドは18インチオーバーのMCペッカーズ製をチョイス。頻繁に乗り回すオーナーの乗り方に合わせて、これ見よがしの過度なシルエットは避け、『乗って楽しいロングフォーク』の範疇に収めている。
均整の取れたトライアングルを形成するフレームワークに目が行くが、ネック周りの補強板であるガセットや、タンク下のエンジンハンガー周りに視点を移したい。
リベットを使った特徴的なデザインで構成されているのが分かるだろう。これは丸リベットと呼ばれる先端が丸い一般的な物を使い、両側からリベット留めしているかのように見える反対側は、実は溶接を盛って丸型に均したものである。それをひとつずつ、全部手作業で行っているのだから強烈だ。
そして、エンジンハンガーにも作り手の執心が見て取れる。そう、同店に限っては丸棒をそのまま曲げて使うなんてことはしない。無垢の鉄棒を旋盤で引き、幾重ものラインをデザイニングして成形。曰く、「古い骨董的なやつが好き。だからそういったのに使われる金具をモチーフにして作った」部位だ。
キレた加工はその限りではない。シッシーバーなどはもはやカスタムビルドの枠を越え、アーティスティックな造形をもってリア周りのアクセントに利いている。中世ヨーロッパの鍛冶屋が作っていた門をイメージしたと言うそれは、14mmの無垢の角棒を使った一品物。谷本さんは、簡単に説明すると炙ってネジっただけといなすが、とても片手間で出来る代物じゃない以上、そこからの踏み込んだ質問は逆にナンセンスだろう。
最後に、こうした細かい作りに対してのコメントを求めたところ、「全面に出さずにさり気なく、手間をかけた箇所をワンポイントにしたい」との答えが返って来た。なるほど、フロントエンドやタンクなどのメインパートで主張するのではなく、シルエットを生かした上での緩急の使い分けが主戦場のようだ。
HARLEY-DAVIDSON FL 1951 DETAIL WORK
HANDLE
繋ぎのエッジがポイントの、手前にベントさせたハンドルはステン製。ライザーはVツイン製のドッグボーン。
FRONT FORK
フロントエンドはMCペッカーズ製の18インチオーバーをセットアップ。前ではなく上方にストレッチさせる。
GAS TANK
シンプルなタンク下に同店の『色』が現れる。リベットデザインのガセットは一つずつ手作業で成形した部位。
FOOT CONTROL
bremboマスターを縦にマウントしたフォワードコントロール周り。中のベアリングを入れ直して一新する。
MUFFLER
シンプルながらエンド部にデザイン性の高さが現れたワンオフマフラー。全体のシルエットに良く似合う造形だ。
SISSY BAR
ハイライトのひとつになる14mmの角棒を使って製作したシッシーバー。さり気なアクセントが効果的に利く。
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