INDIAN MOTORCYCLE FOUR 1940
CYLA MOTORCYCLE DEPT.
うつけの地に見る
達観したニヒリズム
かつてハーレーと双璧をなすインディアン・モーターサイクルと言えば、抜きん出たテクノロジーでファンを魅了し、その後、花火のように鮮やかに散った伝説的メーカーである。その中でもこのFOUR(フォー)は、直列4気筒のド級のエンジンを懐に抱くハードなモデル。
当時、インディアン社は米国ペンシルバニア州にあったエース・モーター・コーポレーションを買収して技術を引き継ぎ、1927年より形を整えた上でフォーをリリース。フォーの前名がエースと呼ばれるのはそのためだ。
そもそもの玉数が少なく、部品の供給も終了した希少車だが、岐阜のサイラで飾られることなく、元気に走る貴重な姿を見ることが出来た。代表堀場さんの愛車である。
「元々はチョッパーだったんですけど、純正に戻すには部品があまりにも足りなかったんでボバーにしようと。作ってみて普通に乗れるなっていう手応えがあったので通勤で使うようにしたんです」
前オーナーのアパレルブランドNEIGHBORHOODの滝沢さんより購入した車両に付けた、リアのラゲッジラックやフロントフェンダーはそのためだと言う。他にもシートとステップ、グリップ位置を自分の体型に合わせてベストなポジションを入手。撮影場所まで車から追ったバックショットは自然でグルービー、スピードに乗るその姿がジェラシーだ。
前後ホイールは18インチから16インチへ。フォークは’50年からチーフに採用されたテレスコタイプのステムシャフトをロング加工して付けた物では、と氏は推測する。
「ウチでやったのはハンドルだったりマフラー、フロントフェンダーとか。マフラーのヘッダーは純正で、その先を車体に沿わせたカーブで短く合わせてる。フェンダーもフォードのタイヤケースの切れ端が店に落ちてたんでそれを使って、大阪のゴーキーでマッドフラップ(泥除け)を作ってもらってますね」
昔はフルスクラッチのカスタムで時代の寵児となった男の、なんとも達観したかのバイクだ。素材を生かし、旨味を引き出す。高度な腕を持ちながらも、その片鱗を見せることない内に秘めた職人気質は、どこか戦国の武将を思わすニヒリスティックがある。
「カスタムを難しくやってない。何て言うかな、エンジンを目立たせるのが最優先で、このエンジンに乗るというイメージですね(笑)」
岐阜は、激烈な生き様で名を遺す、織田信長のお膝元である。
INDIAN MOTORCYCLE FOUR 1940 DETAIL WORK
HANDLE
オリジナルのハンドルをベースにインナースロットル仕様に。ライザーは中央にフランダース製が用いられた。
FRONT FORK
‘50年以降のチーフに採用されたテレスコタイプを、ステムシャフトを延長させて装着した物ではと推測する。
FRONT FENDER
フォードのタイヤケースの切れ端を使ったフェンダー。チップは出所不明で、一品物のマッドフラップをセット。
GAS TANK
前オーナーから引き継ぐジュラシックペイント作のガスタンク。純正の幅を詰めてナロースタイルとされる。
MUFFLER
ヘッダーは純正で車体に沿わせてエンドをワンオフ。ストック長だと長過ぎるためスタイルに合わせて調整。
REAR END
サイクルフェンダーを加工しネイション製チップを装着。カリフォルニアテールとベック製ラックが付く。
BUILDER’S VOICE
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