HARLEY-DAVIDSON FLH 1980
MOTORI GARAGE
乗り手に寄り添う
ほど良い湯加減
オートバイ販売業からスタートした、広く門戸を開放した入りやすい雰囲気のショップである。店内は、代表鳥居さんの親しみやすく面倒見の良い人柄からか、20代前半の若いハーレー乗りの姿もあって活気を帯びた印象だ。そして、何はさておき、カスタムである。
本人自身、『ショーバイク』みたいなのは作らないと言う通り、手掛けるマシンは『ギラギラビカビカ』の類ではない。がしかし、オーナーが跨って走る光景には不思議と惹き付ける何かがある。無理のないライディングポジションに、スタンダードなチョッパーのフォルム。ベーシックな要素を踏まえた上での独自の黄金比が同店のアドバンテージだろう。
今回の‘80年式FLHは、この’40年代後半から’50年代前半に採用されたウィッシュボーンフレームと、コーンショベルのエンジン、74スプリンガーというオーダーで製作されたと言う。そのいきさつはこうだ。
「元々自分でショベルに乗ってたんですけど、パンヘッドのエンジンに載せ替えようかなと思ってた。そしたらパンのケースを譲ってくれる人がいたんで、じゃあそれで新しく作ろうと(笑)。でもせっかく調子の良いショベルが余ってしまうから、オーナーにエンジンとミッションを譲ってこの1台を作った感じです」
ウイッシュボーンフレームに、氏がマイブームだと笑う前後21/18インチホイールをセット。タンクは、「きっと乗っけたら格好良いだろう」と、たまたまネットオークションに出てた’76年製を選択。そして案の定、取り付けてみれば狙い通りの雰囲気を醸し出した。曰く、計算なんかじゃなく全てはその場のノリ。その結果が、街中を走れば絵になるスマートな存在感だ。
「この手のスタイルは得意かもしれませんね。さっきも言ったようにうちはショーに出すようなバイクはやらないのかなと。走っててちょっと照れくさくなるようなのはあまり」
抽象的だが、実にしっくり来る返答だ。照れくさいのではなく、同店が求めるのは『リアル』である。鳥居さんと少しでも話せば分かるが、いわゆる一般的なオートバイ販売の代表と思ったら大間違い。ハーレーへの愛情と造詣の深さは相当なものがある。例えばパーツひとつ訊ねても、「何年代の何々」とすぐに、的確に出てくる人はそうそう多くはない。
知らないのではなく、知った上でのカスタム。だからこそ、付け焼刃でないリアルな雰囲気がマシンからはバンバンに漂う。熱くもなくぬるくもない、ほど良い湯加減をキープするにはそれなりの技が必要である。
HARLEY-DAVIDSON FLH 1980 DETAIL WORK
FRONT FORK
74スプリンガーにヘッドライトはUNITY H1。外しのない王道のセットアップでフロント周りを固める。
GAS TANK
色褪せたオレンジカラーがポイントの、‘76年製のスポーツタンク。偶然オークションで見付けた物だと言う。
SEAT
ソロとピリオンシートのコンビは、カスタムシート屋ジミードープによるワンオフ。座り心地にも配慮される。
OPEN PRIMARY
BDL製1.5インチのオープン。ステップ周りは元々自分のバイクに付いていた物をそのまま流用したそうだ。
MUFFLER
奇をてらわずスラッシュカットを装着。下手に手を加えないこの辺の判断が同店のカスタムの完成度を上げる。
SISSY BAR
フラットバーを曲げて作っただけと言うシッシーバー。磨き無しでメッキをかけ、ショップ名を刻印する。
BUILDER’S VOICE
MOTORI GARAGE
住所 | 宮城県仙台市泉区松森字前沼52-1 |
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電話 | 022-342-8552 |
FAX | 022-342-8553 |
SHOP | MOTORI GARAGEのショップ紹介 |
営業時間 | 10:00 ~ 19:00 |
定休日 | 火曜日、水曜日 |