TRIUMPH TR5 TROPHY 1951
LIBERTARIA
ソウルミュージックに乗る
トライアンフのしらべ
ヴァン・ヘイレンの『 I Can’t Stop Loving You 』ばりである。いや、その深さは本家のレイ・チャールズばりかもしれない。要は、トライアンフ愛が強すぎるわけである。代表藤久さんの想いをどれだけ伝えられるかは疑問だが、とりあえずいってみよう。
ベースは’51年式TR5。元々はコレクターが所持していたオールアルミエンジンのレア物を一新したオンリーワンである。始めに、同店が一番重きを置くエンジンワークから作業は進められた。
500ccのエンジンに650cc用のクランクを入れて、バルブ周りを最大化。まずは、既製のバルブだと今回のチューンではピストントップのバルブリセスに干渉してしまうため、それに合わせて最大径化したバルブシートをワンオフ。そのシートを鋳込みで埋め、シートリングをはめた際に、リングに対して最も大きな径で攻められるバルブになるようリップ(傘の部分)を改造してビッグバルブを製作した。
次に、ピストンハイトが上がると反対側に火花が飛ばなくなるので、燃焼効率を高めるためにセンタープラグ化。更に高回転型のエンジン特性により、シングルキャブだと追い付かないことからケイヒンCRミニのツインキャブ仕様と抜かりは無い。また、ミッションケースを加工して4速から5速へ変更するなど、同店の定番メニューも欠かさず施されている。
車体に関しては、TR5は起源がトライアルバイクのために、スピードレンジが上がるとフレーム剛性に不安があると言う。そこで、リアアクスル前に上下フレームを支持する補強パイプを入れ、エンジンマウントのコの字型プレートには鉄板を外面に張って二重構造で強化。マウントプレートはアルミの6mm板で作り直したものだ。
こうして主要な箇所に手を入れた上で、ようやく外装である。前後19/18インチのホイールに同店お得意のツインパネル・ドラムと、35φオールドGPのチェリアーニフォークをセットアップ。リアはカンリン製ドラムを付けるために、わざわざスペーサーをアルミで作ってチェーンラインを左にオフセットしてからホイールセンターを出したセクションだ。
そして、タンクはノーマルをベースに幅を詰めて、そこに名品のスミスメーターをすっぽりインサート。ワンオフのマフラーはアルミ削り出しでエンドを作り、パンチングメタルのストレート構造にウールが巻ける快心のパートである。
ゆったりと、時にはテクニカルな話ばかりか歴史も交えて淡々と話す藤久さんから滲み出るトライアンフへの愛情は深い。そう、やはり愛さずにはいられないのである。
TRIUMPH TR5 TROPHY 1951 DETAIL WORK
FRONT FORK
お得意のセットアップの35φオールドGPのチェリアーニフォーク。サイドマウントのヘッドライトも相性抜群。
GAS TANK
ノーマルをベースに幅を縮めてスミスメーターが埋め込めるように加工。ピンラインは神戸のポッツさんが担当。
ENGINE
細部に渡り手の入ったスペシャル仕様のエンジン。曰く、このクローズドフィンピッチの造形に惹かれると言う。
ENGINE MOUNT
このモデルの不安要素であるノーマルはかなり薄い鉄板のため、外側に鉄板を張り合わせて二重構造で補強。
REAR WHEEL
18インチのリアホイールにカンリン製7インチドラムを装着。スペーサーを作り左にオフセットしている。
REAR FENDER
汎用のサイクルフェンダーを支える手の込んだワンオフのステーは、交流のある埼玉のSTOOP MCが製作。
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