HARLEY-DAVIDSON FXSTD 2002
MOTORCYCLE SHOP H.B.C
主張しない
3つのセクション
今年からスクランブラーカスタムに注力してゆくH.B.Cは、元々国産アメリカンを軸に、ハーレーも手掛けて来たショップだ。また、同店が作り込んだマシンには定評があり、国産アメリカン系カスタムショップの中では頭ひとつ抜きん出た存在として周知されている。
そのH.B.Cの本領が発揮された一台が、この2002年式FXSTD。ご覧の通り、フロントからリアにかけての流れるような美しいラインがポイントのユーロスタイルにフィニッシュされた。
「オーナーさんがイメージするカタチのバイク雑誌を持って来たことから始まった。それをモチーフにして、うちなりのカスタムに仕上げたのが今回のソフテイルデュースです」。代表の橋辺さんは、今となってはユーロスタイルこそ珍しいものではないが、要所にH.B.Cならではのストラクチャーが忍んでいると話す。
では、それは何か。流麗なラインを形成するタンクとシート、リアフェンダー、それぞれ3つのセクションの造形である。一見しただけではどういった手が入っているのか分からないので、順に追ってみよう。
一つ目。タンクは市販をベースにするものの、そのままポン付けといった野暮なことはしない。中央で分割して幅を詰め、全体的にひと回り小さくリサイズ。そして、タンク下に『かえし』を立てることで、曲線と直線のラインが同居した奥行きのある立体感を演出している。
二つ目。横から見ると、シートの後端部にアーチ状の『かえし』を立てた上でリアフェンダーとつなげているのが分かるだろう。このかえしの製作も生易しいものではないが、有るのと無いのとではラインの違いは明白。タンクからリアフェンダーへと続く一連の流れの中で、このアクセントが効果的に活きることでクオリティに厚みが増している。
三つ目。リアフェンダーは一枚板ではなく、数枚の鉄板をつなぎ合わせた渾身のパートだ。まず、丸鋼で軸になるバックボーンを作り、そこへ垂直に数本の丸鋼を配して全体の骨格を形成。その上に、伸ばし、均しを繰り返して用意した4枚前後の鉄板を貼り、溶接でつないでフィニッシュしている。「横は一枚板で作ってますけど、アールをきれいに出すには鉄板をつないだ方が早いという判断からそうした」と、氏は言う。
どのセクションも容易いものではない。橋辺さんの相方である幼馴染みの林さんが実作業を担当するが、常に試行錯誤の繰り返しと、またそれを強力にバックアップするスキル抜きには成し得ないものだ。
見えない箇所へのこだわり。聞かなければ分からない、自分からは主張しない。そんな九州男児のニヒリスティックな一面をも内包したマシンである。
HARLEY-DAVIDSON FXSTD 2002 DETAIL WORK
GAS TANK
市販品の幅をセンターで詰めてナロード。タンク下のかえしとエンドのくびれたシェイプが見せ場となる。
ENGINE
高級感あるブラックカラーに包まれたツインカムエンジン。そこに馴染むエアクリーナーはアレンネス製。
OPEN PRIMARY
BDL製2インチのオープンプライマリー。フォワコンはアレンネス製ペグ以外のアーム類はワンオフとなる。
MUFFLER
バンス&ハインズ製を内部のメッキが見えるようにショートカットしてリメイク。ヒートガードも単品で製作。
REAR FENDER
丸鋼の土台上で数枚の鉄板をつなぎ合わせて製作したリアフェンダー。エンド部にはライトが埋め込まれる。
REAR WHEEL
スイングアームとホイールはPM製で8.5Jのリアタイヤを装着。同じ完成度のサイドナンバーステーはワンオフ。
BUILDER’S VOICE
MOTORCYCLE SHOP H.B.C
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