HARLEY-DAVIDSON XL1200S 1998
YELLOW MOTOR CYCLE
ノリとアイデアでゆく
ソリッドなイエローワールド
イエローモーターサイクルの三田さんは、理屈じゃなくて感性の人である。初めて会ったのは確か今から15年前ぐらいだっただろうか。工場から顔を出した彼のファッションは、キャップを斜めに被り、上下にオーバーサイズの服をまとったストリートスタイルそのもの。当時、バイク屋でそんな格好をした人はまだほとんどいなかったものだから、その時のことは良く覚えている。
そしてファッションばかりじゃなくて、作るバイクも自由な発想に満ちていた。ピンクやオレンジといったキャッチーな色使いから各パーツの造形まで、それまで『良し』とされていた伝統的なカスタムの常識を覆すかのインパクトがあったように思う。ひと言で、ノリが良い。このチョッパーは、そんなショップの手掛けた一台だ。
元々は前オーナーの好みでフルカスタムされていたスポーツスター1200Sは、新しい乗り手に渡ったのを機にモディファイされた。まず、最大のポイントになるカチ上がったロングフォークは、オーナーが乗り難くなるギリギリのところ、6インチオーバーでフィックス。そして、前後ホイールは21/19インチと珍しいセットアップだが、これは、「別のバイクでリアを18にしたかったけど無くて、そこにたまたま19があったからそれを履かせてみたら良いじゃんって(笑)。そっからですね」と、いつものノリから来たものだ。
フロントのみパープルカラーのホイールもまた同店らしい手法である。「正直、いまどきこんなスポークを履いてるやつはいないっていう(笑)。やっぱりそこですね、敢えてのチョイスというか」。トレンドを追うショップとは対照的な発想も健在だ。そして、外装のフィニッシュがまた見ものである。
純正タンクの丸いアールに惚れ込む氏は、そこを使いたいがために社外品を使わず、純正を4分割にしてそれぞれの幅を詰めて溶接。コンパクトな形状に成形し直して、リアフェンダーとのバランスを見て装着する。その上で最後のペイントに入るのだが、それは剥離してクリアを吹いただけの極々シンプルなもの。これまでの鮮やかな色味を使ったイエローの手法とは一線を画すフィニッシュである。
「年を重ねたからか、最近は素材が活きる仕上げに凝ってますね」。そう話す三田さんの傾倒ぶりは、タンクに付くエンブレムにも現れていた。鉄と真鍮を素材に、グラインダーや棒やすり、リューターを使ってシコシコと自らが仕上げた一品は、もはやバイク屋店主の枠を超えたクリエイションだ。
要は、バイクだろうとなんだろうと型にはまらず、ノリとアイデアの赴くままに、ただそれを作る人。それがイエローモーターサイクルなのである。
HARLEY-DAVIDSON XL1200S 1998 DETAIL WORK
FRONT WHEEL
ソリッドなフォルムに映えるインパクトのあるホイール。しかし最近は昔ほど色味では遊ばないと言う。
GAS TANK
純正タンクを4分割し幅を詰めてリメイク。中央のグラフィックはマグネットステッカーで、同店で扱う新商品。
EMBLEM
ヴィンテージロゴをモチーフに三田さん自ら鉄と真鍮でハンドメイド。アーティスティックな造形である。
SEAT
シートエンドの嵩を上げるワンメイクのボルトがポイント。タンクに鉄パイプを溶接して剥離でフィニッシュ。
MUFFLER
カチッとではなく肌感覚で成形したと伺えるイエローらしいマフラー。絶妙な長さがまた車体と良く似合う。
SISSY BAR
前オーナーの時にカットしたサブフレームを再度自然な見た目になるよう装着。ライトはシボレー製を流用する。
BUILDER’S VOICE
YELLOW MOTOR CYCLE
住所 | 栃木県足利市名草上町3308 |
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電話 | 090-2739-7828 |
SHOP | YELLOW MOTOR CYCLEのショップ紹介 |
営業時間 | 11:00 ~ 19:00 |
定休日 | 土曜日、毎月13日 |