YAMAHA SR400 1998
LAMP CYCLE
非凡なモールド・ボディをまとう
ヴィンテージ・フラットトラッカー
これまで数多くのSRカスタムを手がけ、とりわけ『ストリートに映えるSR』の造り手としてその名を知られるランプサイクル松隈さん。しかし2018年の横浜ホットロッドカスタムショーに持ち込んだのは、これまでとは少し毛色の違うマシンだ。
「イメージは、昔のフラットトラックを走っていたレーサーです。僕の勝手なイメージですけど、日本人じゃなく、アメリカやヨーロッパのプライベーターが頑張って作ったレーサーというか。SRでその雰囲気を出したかったんです」
何より目を引くのは、タンクからリアフェンダーにかけてモールディングによって一体化された外装だ。以前に雑誌でファイバーグラスを用いた一体型の外装、いわゆるトレイシーボディをまとったチョッパーを目にしたとき、日本ではあまり見かけないこのスタイルでレーサーを作ったら面白いのではないか、と夢想したのがきっかけになったという。
「見た目ももちろんですが、最大の目的は軽量化です。実際、ノーマルのSRよりもかなり軽くなりました」
松隈さん自身初めてだったという大掛かりなFRP作業。納得の出来るスタイルに仕上がるまで、何度も作り直しを重ねた。「多分、鉄の方が簡単でしたね」、と笑う表情が印象的だ。
フレームワークも必見。シート下のフレームをカットし、リアサスからエンジンへ向かって走るフレームを追加。さらにそこからエンジンガードを兼ねたパイプを追加して強度を保つ。そしてカットしたリア周りにはサブフレームを追加。こちらは着脱式で、リアタイヤ交換を容易に行えるなど、整備性も考慮するあたりに作り手の『本気』を感じさせる。一方、特徴的なブルー系の塗装にもこだわりを垣間見た。
「くすんだ感じの青を出したくて、塗装屋さんで塗料の調合まで立ち会いました。艶も落としているんです。フレームは半艶、外装は8分艶にすることで、作り込んでいない感じ、プライベーター感が出てリアルになると思ったんです」
タンクからリアへと流れるフレイムスは、塗装屋へ出向いて自らマスキングを手がけた。少し粗野で手書き感のあるラインが、その『リアル』さを助長させている。
自らもモトクロス経験を擁し、今なおレースへの熱を持ち続けている松隈さん。目下の目標はこのマシンで競技場のトラックを走ることだという。
「やっぱりバイクは走ってナンボなので。(飾っているより)走らせてカッコいい方がいいですからね」
(写真・文/マツモトカズオ)
YAMAHA SR400 1998 DETAIL WORK
LEVER
デコンプレバーを廃しFブレーキに。グリップは外装に合わせくすんだ色調に。ライザーはエストレヤ用を加工。
HANDLE
ハンドルはダート用を幅詰め。タコメーター下にはスプリングを入れて振動対策。随所の黒が車体を引き締める。
FRONT WHEEL
Fホイールは19インチ。XT250用のフォークによるローダウンと前方へのオフセットで『SRらしくなさ』を演出。
ENGINE
黒&クロームの塗り分けで立体感を出したエンジン周り。エンジンガードが特徴的だ。ステップはXT用を加工。
MUFFLER
フラットトラッカーを踏襲し、エキパイはフレーム下を走る。何箇所も切り込みを入れるなど軌道には苦心した。
REAR END
フレームカットにより強調されたリア周り。スイングアームには丸パイプで補強を入れた。サスはヘイゴン製。
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