ヤマハ SR500 400 1982のカフェレーサーカスタム

YAMAHA SR500 1982
MOTO GARAGE LIFE

April 14th, 2018

予測不能な
眠っていた願望

明らかに様子がおかしいバイクだ。少なくとも、単に外装をモディファイしただけでないのは一目瞭然。が、いったいどこをどうやって作ったのかは、パッと見ではさだかではない。なので、当然その答えは製作者本人にゆだねるのがベストだろう。

ヤマハ SR500 400 1982のカフェレーサーカスタム

これまで数限りなくSRを触ってきた店主の釘崎さんだが、実際に自分の物として所有したことはなかったそうだ。そこで、もし自分がSRを手に入れたらどんなカタチにするだろうか、と何の気なしにスタッフと話していたことがキッカケだったと言う。

ヤマハ SR500 400 1982のカフェレーサーカスタム

「一回買ってみようかなと。自分自身でも興味があったんです、どういう方向のカスタムに持っていくかが。それで何も考えずにラフ案をパーって描いた。そうするとまあこういうカタチが出てきたんですよね(笑)」

結果的には、潜在的に自分の中で眠っていたイメージを掘り起こしたものといえる。そして、無意識だからこそ、氏が内に秘めた純粋な世界観が、このSRにありありと投影されることになった。

ヤマハ SR500 400 1982のカフェレーサーカスタム

付け入るスキのない全体のフィニッシュに作り手の腕を目の当たりにするが、最大の主点はフレームワークに尽きる。見る者に特異なインパクトを与えた元凶は、蓋を開けてみれば骨格からの刺客だった。

「まず真っ先に、ドライサンプの機構に何かしたかった。フレームメインチューブに大きく手を加えてみたいなと。だからとりあえずそこをいったんリセットすることから始めました」

ヤマハ SR500 400 1982のカフェレーサーカスタム

本来オイルタンクも兼ねたメインチューブをカットして、そこに骨格が剥き出しになる特徴的なフォルムを形成するために、ゆるやかなアールを付けたチューブをワンメイク。リリースしたオイルタンクは、分割ガスタンクの右後方に用意した部屋を使い、右前方と左側にはガソリンを収納。全3つの部屋で区切ったタンクで機能させている。

シート下のケースで一度中継をかませてつなげるオイルラインもメカニカルなデザインで見栄えが良い。また、マフラーやヒートガード、シートエンドなどのディテイルには、実力派のショップ特有の、ほれぼれするような端麗な処理が見て取れる。そこに来て、例のメインチューブだ。

ヤマハ SR500 400 1982のカフェレーサーカスタム

「SRの一番の骨になる部分ですけど、そこを大きく変える勇気といいますか、度胸といいますか(笑)。お客さんだとそれをやる人はなかなかいてませんので、一度やってみたかったんです」

大きく深呼吸。ずっと入り損ねていた縄跳びの輪に跳び込むことで、開ける景色がある。

YAMAHA SR500 1982 DETAIL WORK

ヤマハ SR500 400 1982のフロントカウル

FRONT COWL

汎用のカウルを加工して装着する。黒メッシュのガードや同色のネジなどで統一感のあるディテイルを形成。

ヤマハ SR500 400 1982のガスタンク

GAS TANK

オイルインフレームをリメイク。分割タンクの右後方をオイルタンクとし、右前方と左側がガスタンクとなる。

ヤマハ SR500 400 1982の電装ボックス

ELECTRICAL BOX

フレームとツライチで合わせた電装ボックスを配置。イグニッションとメーターのトリップボタンを移設。

ヤマハ SR500 400 1982のフットコントロール

FOOT CONTROL

フットコントロールはストックを流用した箇所とのこと。全体を彩るシルバーのペイントと違和感なく溶け込む。

ヤマハ SR500 400 1982のリアエンド

REAR END

完成度の高いループフレーム加工を施したリアエンド。テールライトもレンズ以外はワンオフで製作された。

ヤマハ SR500 400 1982のリアホイール

REAR WHEEL

ストックサイズのホイールリムは鉄チンに変更。リアショックにはキジマ製の315サイズをセットアップする。

BUILDER’S VOICE

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