ハーレー K(KR)1953のダートトラックカスタム

HARLEY-DAVIDSON K 1953
CHIP MOTO-CYCLE

August 25th, 2017

ブレーキで軌道修正した
KRルックのオールドレーサー

ことカスタムに関して、徹底した作り込みで知られるチップモーターサイクルにしては、おとなしい一台である。オーセンティックなダートトラックスタイル。が、実は、フルスクラッチのカスタムイメージが先行する同店だが、このシルエットこそが本流だったりする。

代表の吉田さんは、ダートトラックの最高位であるエキスパートホルダーだ。カスタム屋の顔を持つ傍ら、真正のレーサーでもあった氏がこの手のスタイルを触れば、いやがおうにもリアルな空気感がバンバンに漂う。

ハーレー K(KR)1953のダートトラックカスタム

「アメリカにこのオーナーと一緒に、’54年以降のKモデルを探しに行ったんですけどなかなか無くて、KRのブレーキが付いてるのに惹かれて’53年のを買っちゃった感じですね」

本当は’54年以降に採用された、信頼出来るカセットミッションタイプが欲しかったが、KRブレーキのインパクトにヤラれてしまったそうだ。

ハーレー K(KR)1953のダートトラックカスタム

「特別なことは何もしてないですね。普通に、KRルックのオールドレーサー。まあ千里浜のサンドフラッツレースに出るからそれ仕様に変えてるけど、その後は全部公道用に戻しますし」

エンジンはストックの750ccではなく、ストローカーの900cc。これは購入当初からのセットアップだったが、かなりの不具合があったためにリペアを施し、リンカートのM53キャブと合わせてチューニングしている。

ハーレー K(KR)1953のダートトラックカスタム

そして、クラッチ周りは後期のアイアンスポーツ用が使われていて、ギア比もロングに振った仕様。「飛ばすには良いかな」、とそのままそれを活かすが、結局フロントとリアのスプロケットに問題があって修理したものの、未だ手直しする箇所は残っていると言う。

ハーレー K(KR)1953のダートトラックカスタム

「いにしえのチューナーだかが組んだらしいんですけど、蓋を開ければその息子が組んだみたいで、やるところは未だいろいろありますね。まあ込み入ったことはしてないんで、本にある教科書通りのレーサーですよ」

ハーレー K(KR)1953のダートトラックカスタム

外装に目を移そう。ダートトラックバーにノーマルのスポーツタンク、シートは’67年製XLRの純正で、ピリオンシートはKRのレース用レプリカ。オイルタンクは上面を加工して、マフラーにKRタイプのドラッグパイプを装着。エアクリーナーカバーには’53年製AMAのナンバートッパーでアクセントを付けている。

駆け足で見てみたが、確かに目立ったワンオフ物はほぼ無い。が、なんてことないパーツチョイスに現れた目利きの才と、ダートトラックレーサーとしてのバックボーンが、アーシーでリアルな空気感を醸し出す。

HARLEY-DAVIDSON K 1953 DETAIL WORK

ハーレー K(KR)1953のハンドル

HANDLE

店にあったダートトラックバーを取り付け、メーターにスミス製をセット。グリップカラーはタンクと統一。

ハーレー K(KR)1953のフロントフォーク

FRONT FORK

フォークは純正を用い、ヘッドライトにデューレイ製のトラクター用を装着。中はハロゲンタイプに変更される。

ハーレー K(KR)1953のフロントブレーキ

FRONT BRAKE

購入しようとしていた年式自体を変更させるほどのインパクトだったKR用ブレーキ。この造形にヤラれたそうだ。

ハーレー K(KR)1953のエンジン

ENGINE

エンジンはストローカーの900ccとなる。カバーには’53年製AMAのナンバートッパーを語呂合わせでセット。

ハーレー K(KR)1953のマフラー

MUFFLER

往年のレーサースタイルをモチーフに、KRタイプのドラッグパイプを選択。文句無しのスタイルである。

ハーレー K(KR)1953のリアブレーキ

REAR BRAKE

レースマインドを増幅させるスロッテッド加工が施される。ブレーキは前期XRに付くドラムタイプと推測。

BUILDER’S VOICE

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