
YAMAHA YD250 1987
ECCENTRIC MOTORCYCLE
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マッドな手りゅう弾
「ディガースタイルのバイクを最初から作るって決めてて、オーナーが完全にお任せで良いっていうので、作りたいものを好きに作ったっていう感じですね」
自分の店の通常業務の他に、同業プロショップからの外注先として鈑金加工も請け負う『エキセントリック』の会心の一台である。多様性に富んだカスタム屋それぞれの要望にも柔軟な店主の大西さんだが、こちらは、自らが握りしめた手りゅう弾をシーンへと投げ込み、小爆発をもくろんだものだ。

「ここんとこ何年かは結構落ち着いたショーカスタムが続いてたんで、ここいらでちょっとブチかましてやろうかなと(笑)。根本的に好きなスタイルがディガーで、自分の色を一番出せるかなって」
フレームワークに始まり各外装と、同店の作風が全面に渡って炸裂している。ネック部をストレッチさせて用意した土台となる骨格に、そこにピシャリと収まる鋭角的なガスタンクやリアフェンダー。フロントフォークも取り付け角と長さに配慮されたスペシャル仕様をおごり、デザインの面もゴリゴリだ。

まずガーターフォークに関しては、通常、進行方向に対してフォークの四角い断面のフラット部分が前に来るが、こちらは敢えて四角の鋭角的な『角』部分が来るように設計。これはガスタンクのロケットデザインと均衡させたもので、その方がベストなことから構築したものだ。

また、ロケットタンクやリアの同じくロケットをイメージしたフェンダーも夢の詰まった造形で、その具現に当たっては鉄溶接特有の歪(ひず)みが問題になるが、そうした難所も細心の注意と経験値の併せ技で巧みに切り抜けている。そして、部材にアクリルを使ったディテイルもならではのもので、灯火類や飾りなどを旋盤で削り出して造成。得意技を出し惜しむことはない。

「エンジンから全て小さい車体なんでスケール感を凄い重視してます。だからホイールや灯火類も市販品が合わないので作ってますね。あとは、自分もですけど見てる人がなにかワクワク出来るようなバイクを作りたかったっていうのがあります」

昨年のホットロッドカスタムショーの会場では、沢山の人がこのバイクに興奮していた。子供はそこから離れられずに見入ってしまう様子で、大人も手持ちのデバイスでありったけを思い出に仕舞い込む。そこで演出した非日常のディスプレイも相まって、明らかに浮いた存在でもあった出展ブースには、もう疑いようもないほどのワクワクがあった。
YAMAHA YD250 1987 DETAIL WORK

FRONT FORK
無機なガーターフォーク。フロントとリアレッグ共に角パイプの『角』部分が進行方向に対して前に来るよう構築。

GAS TANK
見る人はもちろん作り手もワクワクと挑んだディガースタイル。小粋なタンク造形にも作り手の心持ちが現れる。

FRAME WORK
ベースとなるフレームにワンオフの外装がカチリと狂いなく収まる。スイッチ周り一つ見ても精緻な作りが踏襲。

MUFFLER
左右出しのマフラーはスぺーシーな雰囲気で成形。17インチホイールにキャップをあてがい世界観を固めてゆく。

REAR END
ナンバー灯裏の3Dデザインのステーや、中央にアクリルを配したマフラーステーなど各部の作り込みを徹底。

REAR FENDER
ロケットや飛行機の羽を念頭に製作。フェンダー縁に鉄パイプを添え、テールライトはアクリル削り出しの一品。
BUILDER’S VOICE
ECCENTRIC MOTORCYCLE
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