H-D EL 1945
LUCK MOTORCYCLES
孤影をつらねた
両翼へのグライド
ここに来て、時代が『ラックモーターサイクルズ』に脈打っている。昔から関西の手練れのチョッパービルダーとして名を馳せた存在だが、最近はそれに輪をかけて波紋を広げている。評判や技術、世界各地でのパブリシティといったあらゆる要素がカチリと噛み合い、寸部のズレなく明日への歯車が音を立てて動き出している。
今回のオールドスクール然としたナックルヘッドは、どの角度から捉えても『ラック』のそれである。オリジナルフレームに前後21/18インチホイールを合わせ、同じくオリジナルの74スプリンガーフォークにエイプハンガーを装着。ベースとなるパーツ単体だけを聞けばあくまで自然体だが、ひとたび杉原さんの手にかかるとあらゆるディテイルがうねりをともない発光し出す。
まずは、フレイムスデザインに丸棒を溶接してモールディングした3Dのガスタンクである。この習熟したパートの塗装は、地にクロームを敷いてその上に艶消しオリーブをペイント。フレイムスのエッジ部にクロームを残し、その内部をキャンディカラーで彩ることで更なる立体感を描出している。
次にシッシーバーも、ツイストのみで片付けずに頂点にはレーザー加工で切り出したワンポイントを付帯。他にもアクセントに取り入れたリップル形状のマフラーや、敢えてガスタンクと同色にしないメッキのリアフェンダーなど、高度な感性がものを言う同店固有のメソッドが全体に渡り燃焼している。そして、それらはすべて飾りじゃないところで存在感を増す。
「確かにチョッパーって元々がアウトローな乗り物というのが発祥ですから、そういう所の遊び心とか乗った感じが僕は重要やと思うんですよね。それをどこで表現するかっていうのはバイクによって違うんですけど、やっぱり乗車姿勢でかなり左右されますよね」
背筋を伸ばして乗るよりはちょっと背中を丸めて、曲げた膝にも余裕を持たせてあげるポジションが理想。そのためにそれぞれ体形の違うオーナーに合わせて位置を詰めていき、バイクとマッチングさせることは必然の工程だと言う。同店のバイクはそれ単体でも麗(うるわ)しい影を見せるが、街中で走った姿により目が留まるのは、そこにたった一つの真実が見て取れるからだろう。
特別である。動的な見栄えと、筋の良さ。この種の差し迫ったチョッパーを繰り出す作り手において、もうほかとはちょっと離れた次元に片足を突っ込んでしまっている。
HARLEY-DAVIDSON EL 1945 DETAIL WORK
HANDLE
乗る状況に合わせられるよう同店では珍しく固定させない可変対応。ライザーを加工してトップクランプに装着。
FRONT FORK
フロントはオリジナルの74スプリンガーでヘッドライトは古めのベイツタイプ。ベストな位置にマウントされる。
GAS TANK
鉄棒を沿わせてモールディングした3Dのガスタンク。地のクロームと艶有り/無しの塗装で立体感を増す。
MUFFLER
どのチョッパー製作においても『らしさ』を落とし込むのが作法。マフラーにはワンポイントのリップルを入れる。
REAR END
外し技が光るタンクと色を変えたメッキフェンダー。チップにはCHEETAH CCによるエングレービングが彫刻。
SISSY BAR
ツイストシッシバーの頂点にはオーナーの好みによる飾りをセット。レーザー加工で切り出したワンオフ。
BUILDER’S VOICE
LUCK MOTORCYCLES
住所 | 京都府京都市左京区静市静原町855-11 |
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電話 | 075-278-8349 |
SHOP | LUCK MOTORCYCLESのショップ紹介 |
営業時間 | 10:00 ~ 19:00 |
定休日 | 水曜日 |