H-D FXE 1975
INFINITY,
風切り音に身震いする
軸足ありきの舞台回し
繰り出す技のいちいちが目覚ましい。かといって、奇をてらって人目を引くわけではなく、ベースにあるのは、オートバイが持つ普遍的な艶っぽさを吸い出した上で成り立たせたスタイリッシュだ。
『インフィニティ』の土野さんは、誰もが懐に抱える『我』を推し出して突き進むのではなく、あくまでも手掛けるバイクと協調路線を歩み、互いの心拍数を確認しながら舵を取るタイプの遣い手だ。そのためか、産み出されるカスタムは地に足の着いた、洗練されたボディシェイプで盛装される。
「コンセプトとしてはボードトラッカーですね。そこにちょっとだけチョッパーのテイストを入れて作ってみた感じになります。まあ、なんといってもタイヤですね。どうしてもボードトラッカーの自転車のような感じを出したくてサイズを大きくしてます」
タイヤサイズは前後23/19インチである。そしてそこを主軸にして、他の部位のカスタムに着手。まずリアフェンダーをタイヤパターンと同じデザインで製作。特徴的なのは、溶接ではなくロウ付けで成形している点だ。
「溶接だとエッジの部分がどうしても溶けちゃうんです。なので鉄を溶かすほどの熱ではないロウ付けで、接着剤みたいな感じでくっ付けて作っていきましたね」
同じく、タイヤパターンとデザインを同一にしたハンドルなどにもロウ付けを駆使。溶接と比べて接合箇所の隙間を綺麗に埋めることができ、見た目的にもクリーンな手法がここでも存分に発揮された。ちなみに、技術的にも溶接より難易度が高いとされるロウ付けだが、その自在なオペレーションの裏には並みならない熱量の修練があることを知っておいて損はないだろう。
片や、細身のガスタンクとオイルタンク、マフラーの取り回しなど、ロウ付けに続く『技』のオンパレードは絶え間がない。そんな理屈では計れない労力が注ぎ込まれた各パートの数々だが、一点一点の存在感で見る者を一本釣りすることなく、包括的に目にやさしく訴えてくるあたりがドレッシーだ。トリッキーな技を駆使しても、土台となる足腰がひと通り鍛錬されているために、その箇所だけが浮足立つことない一体感を生んでいる。
「こういった形のフルカスタム。まあショーに出しても見劣りしないカッコいいバイクなんですけど、びっくりするぐらい普通に乗れちゃいますね。セルモーターが付いて前後のブレーキも効いて、気軽に乗れる、ほんとに走るためのバイクが作れたかなと思います」
HARLEY-DAVIDSON FXE 1975 DETAIL WORK
HANDLE
中央の造作は無垢棒から削り出したもので、左右からパイプを挿しこみ、溶接跡が残らないようロウ付けで接合。
GAS TANK
細身のガスタンクにメーターとその下黒キャップ内にメインキーを埋め込む。キーレスのスマートキー仕様。
MUFFLER
ショップカラーとなる左出しマフラー。車体の外側に出っ張らないように極限まで内側に追い込んでマウント。
REAR FENDER
レザーシート後方のリアフェンダーはタイヤパターンに合わせたデザインで創作。ロウ付けでクリーンに成形。
OPEN PRIMARY
フットコントロールは単一で用意したものを設置。ドームカバーは市販品を加工し、その後方にはコイルを移設。
OIL TANK
上から見て右側2/3がオイルタンクとなり、残りの上半分が電装ボックス。その下半分にマフラーを通している。
BUILDER’S VOICE
INFINITY,
住所 | 埼玉県入間市狭山台4-19-9 |
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電話 | 04-2936-6876 |
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SHOP | INFINITY,のショップ紹介 |
営業時間 | 9:00 ~ 18:00 |
定休日 | 不定休 |