H-D FL 1954
HAMANS CUSTOM
透けるほど邪魔がない
シングルダウンの挑発
作り手の松本さんの表現を借りれば、ヌレッヌレのビッカビカである。そして、もう本当にその通りである。どのカスタムショーでもしたたるような艶っ気を発散し、自身の『好き』を描いた普遍のチョッパースタイルが見る人の脈所(みゃくどころ)をプスンと射止めてしまう。
「いつも通りの’60年代の雰囲気でっていうオーダーが入ってたんでその感じです。でもウチの言う’60年代は、例えば当時のカスタムカーショーの後ろの方に飾ってあるカスタムカービルダーが作ったようなチョッパーなんですよね」
いつ聞いてもブレが無いし、迷いが無い。この自分の中にある世界観を一貫してまっしぐらに探究する姿勢には、自然と説得力が帯び、人としての厚みも増してゆく。本人にそんなたいそうな気はなくても、ひとつのことを極めていくとはつまりそういうことだ。
まず見て欲しいのは、ワンオフしたシングルダウンチューブのフレームだ。ストレッチさせたフレームは世の中に数あれど、純正と同じディメンションで作られた物は少ないことからそこに着眼。純正ディメンションでのフレームワークが進められた。
また、せっかくシングルダウンフレームを製作するならそれでしか出来ないことをと、マフラーの軌道にその特別な要素を投入。フロント側はエンジン形状にピタリと添うようミッション下を通して左出しとし、リア側も限られた空間をごくタイトにライン取りしてマウント。左右から斜め後方に飛び出すかの造形とされた。
次にガスタンク。当時’50~’60年代に見られたデザインの『星』をあしらったそこは、表面にオーナメントを張り付けたのではなく、星の周囲を凹ましてその部分が浮き上がるように成形。わずかに光ってるような印象を与えるのはその凸凹の陰影によるものだ。
そして、堪能な流れるリアフェンダーの内部には『ネオン管』を配備。勝手にそう呼んでいるというそこは、塩ビ管の中にLEDを仕込むことで現代材料を取り入れたオリジナルが発光する。曰く、「別に’60年代の焼き増しを作りたいのではなく、今の技術でそれっぽい雰囲気が出来るならどんどん取り入れたい」とのこと。
松本さんが焦がれた世界がしっかりと根を下ろし、そこに新たな要素を取得。その原動力は純粋で、向こう側が透けてみえるほどに邪魔がない。
「まあ確かに好きなカスタムは何十年も変わらないです。それが好きで、それがしたくて始めたんで。今もそうですしこの先もですね(笑)」
HARLEY-DAVIDSON FL 1954 DETAIL WORK
HANDLE
入手困難だったことで10年以上前に自ら製作した往年のハンドルバー。巷ではハマンズバーの名で知られる。
FRONT FORK
33.4φフォークをカバードしてクリーンなフロント周りに。その後方のシングルダウンフレームが一番のポイント。
GAS TANK
‘50~’60年代当時に用いられていたスターデザイン。星型の周囲を凹まし浮かび上がらせて陰影を付けている。
REAR FENDER
インディアンのウォーリア500cc用フロントフェンダーをリアに流用。趣味のいいステー造形も同店固有のもの。
TAIL LIGHT
実は10年以上前にも作ったことがあると言うネオン管。ゆるやかなアールを付けた塩ビ管の中にLEDを仕込む。
MUFFLER
エンジン周囲をタイトに取り回して左右から開放されたマフラー。シングルクレードルだからこその軌道を描く。
BUILDER’S VOICE
HAMANS CUSTOM
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SHOP | HAMANS CUSTOMのショップ紹介 |
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