H-D FX 1978
MOTOR CYCLE GOODIES
反復リフで青光る
たそがれのデカダンス
「一応テーマはシンプルなチョッパー。オーナーさんから好みの画像を何枚かもらって方向性を決めて、『後は全てお任せします』みたいな感じだったので、僕の気分とその時の感覚で作っていきました(笑)」
東京の有名店で修業を積んだ後に、都会の喧騒を離れて地元の埼玉県児玉郡へと戻り、秘蔵の怪腕に磨きをかける店主柴崎さん会心の一台。氏が全体重を乗せて作り上げたチョッパーの数ある見せ場の中から、まずガスタンクに視点を合わせたい。
自分で初めて材料からワンオフで叩き出して作ったというタンクは、いかにもではなく普通に見えることがポイントで、背中のラインを始め、なめらかな丸みを出すのに労力が費やされた。また鉄板は上側1枚、サイド2枚、底板1枚の全4枚から構成され、フレームへの装着をハイマウントにしつつもバランスが崩れないように高さを抑えるという相反したお題にも注意が払われている。
「いくら時間をかけて綺麗に作れてもバイクに似合わなかったらダメなので、その辺の葛藤はありましたね。これは市販の物を買った方が良かったんじゃないかみたいな(笑)。マフラーも上手くまとまるかどうかやる前に結構悩みました」
エンジン左側から回り込んで右側へとアプローチするデザインを思いつき、結局頭で考えてもやってみないと分からないことから製作に着手。市販のパイプと自分で曲げたパイプを組み合わせて形成したマフラーは、エンドをフレームの内側に通して完遂。当初簡単に思い浮かんだアイデアは、やると滅茶苦茶大変だったと氏は相好を崩す。
次に、テールライト周りも手が込んだパートだ。小型のテールランプに合わせて造作したボックスの見栄えにそそられるが、フェンダーに付けたリブが捨ておけない。この内側は配線が通せるように中空になっていてそれらをまとめて収納。どこに配線を引いたりケーブルを通すかなど最終段階まで作る前に全部考えていると、作り手の作法は細部にまで及んでいる。
「ステップ周りもワンオフです。他にライトステーなんかもそうですし、わりと普通に見えるパーツも全部作ってます。まあとにかく余計なことはしないけど手をかけてます」
今年のホットロッドカスタムショーにおいて晴れやかに姿を披露したアラカルトの結晶。これらに与えられている個性は、身を削ってまでカスタムショーに挑んでくる全国の猛者の中においても勝るとも劣らない魅力と光彩を放つものだ。
HARLEY-DAVIDSON FX 1978 DETAIL WORK
FRONT WHEEL
21インチHリムにハンバーガードラムを逆向きにセット。フォークのオイルシール部にはアルミカバーを装着。
GAS TANK
一番のポイントだと話すシンプルがテーマのガスタンク。初めて材料からワンオフで叩き出して製作した部位。
OPEN PRIMARY
プライマリーカバーにショッププレートを取り付け。アールを取り入れた形状でステップ周りも単一で仕上げる。
OIL TANK
フレームのナローなラインに合わせてオイルタンクはアルミで成形。コイルカバーにスイッチを配備する。
MUFFLER
トリッキーな軌道を描くマフラー。エンドはフレーム内側を通過させ、意匠を凝らしたフェンダーステーと合流。
REAR FENDER
小型テールランプに合わせてボックスを造作。フェンダーに付けたリブ内は中空となりそこに配線を収納する。
BUILDER’S VOICE
MOTOR CYCLE GOODIES
住所 | 埼玉県児玉郡神川町下阿久原119 |
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電話 | 0274-25-8319 |
FAX | 0274-25-8319 |
SHOP | MOTOR CYCLE GOODIESのショップ紹介 |
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定休日 | 水曜日、不定休 |