H-D SHOVELHEAD 1973
ENDO AUTO SERVICE
ヴィンテージに寄せた
古着が馴染む黒い積層
「元々はある程度カタチが出来てた車両だったんですけど、それをオーナーさんの好みに合わせてリメイクしてます。とにかく古着を着てバシッとキマるような、雰囲気の良い質感にしたいというのは最初からありましたね(笑)」
群馬県の『遠藤自動車』による1973年式のショベルヘッド。グースネックフレームの扱いに長けた国内主要のショップによる新作は、まばゆく輝くカスタムマシンではなく、その逆をいく色あせた風合いに照準を絞り込んだものだ。
今回のスキームの起点となったのはヴィンテージのガスタンク。当時物のワッセル製を用意し、その経年劣化で匂い立つような風雅をたたえたパーツを元にして他のディテイルの調子も揃えられていくことに。
「このタンクが一番大事な物だったんです(笑)。最初は全体的にかなりピカピカなバイクだったんで、そこにこのガスタンクを乗っけてもかなり浮いちゃうよねって。そういう話から雰囲気を合わす加工をしていってます」
番頭の大柿さんはにこやかに製作工程を説明する。ヴィンテージパーツを多数使っているわけではないため、それに合わせて現行の市販品に手を加えていくことに労力を傾けたと言う。それらは一点一点ヤスリで削って表面に傷を付けたり、艶消し箇所を筆を使って演出するなど、手作業で用心深く味付けされていったものだ。
また、フロントフォークもヴィンテージの印象に寄せていった物に変わりないが、ベースがエボリューションのソフテイル用だとはさすがに意外だ。本来がクロームメッキのかかった光沢パーツの面影はどこにも見当たらない。更に、もはや裂け目すら愛しいソロシートや銅パイプを使ったオイルラインなどのディテイルが、『古着に合う質感』というひとつのゴールに向かってスパートすることで製作者の膨らませた青写真を無理なく描出している。
マフラーは2イン1の一般的なエキゾーストパイプを用意して、エンド部をショートカット。都内在住のオーナーの住環境から音量も控え目に設定されている。そしてフットステップやプライマリーベルトガード、シフトステーなどをワンメイク。それらも怠りなく燻(いぶ)した黒の質感で組織することで、当初掲げたスキームは滑らかにまっとうされた。
HARLEY-DAVIDSON SHOVELHEAD 1973 DETAIL WORK
GAS TANK
カスタムの起点になったガスタンクはヴィンテージのワッセル製。ドラッグバーは汎用品を曲げて装着する。
FRONT FORK
グースネックフレームにEVO用スプリンガーフォークをセット。ダンパーを外してフロントレッグとバネを加工。
SEAT
バイクの風合いとのマッチングが高いソロシートはワンオフ。その下の銅パイプのオイルラインがアクセントに。
OPEN PRIMARY
プライマリーのベルトガードとフットステップ、シフトステーは単一で製作。いぶした黒の色合いで統一する。
MUFFLER
社外製2イン1タイプをロー&ロングの車体に合わせてショートカット。他の部位と合わせてエイジング加工。
REAR FENDER
リブフェンダーはナンバーステーと同じ有機的なステーで支持。オイルラインとシンクロしたデザインとなる。
BUILDER’S VOICE
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