HARLEY-DAVIDSON FLATHEAD U 1937
JOYRIDE SPEED SHOP
峠を軽快に走り抜ける
サーティーズ・チョッパー
東京都小平市にあるJOYRIDE SPEED SHOP。屋号の通り、店主西田さんは日々の業務の傍ら、新旧モデルを乗りこなしレースに参戦する人物だ。
スピードフリークの一面を持つ彼だが、レーサーとは相反するチョッパーへの想いも深い。今回の1937年式Uは自分のバイクということもあり、’30年代の純正ケースと好きなパーツを付けて、ロングも街乗りも問題なく走るものにしたかったと言う。
「今回はどうしてもサーティーズの純正ケースを使ってチョッパーが作りたかった。あのつるっとしたカムカバーの雰囲気が好きなんです。でもエンジン全部が純正の必要はなくて、中身には結構社外パーツを使ってる。しっかり走って調子が良いのがベストですから」
サイドバルブエンジンとガーターフォーク、前後Hリムというお気に入りのパーツを使い、’70年代風のシルエットにまとめられた。そして、製作する上で配慮したポイントは、整備性の高さ。これはレーサーも含め、彼が手掛けるバイクに踏襲されるカスタムマナーだ。
さて、サイドビューに目を移そう。フロントに6インチオーバーのガーターフォークが装着され、ホイールは前後Hリムの21/18インチ。リアを16から18インチへ変更したのは、軽やかな乗り味を求めてのもの。
また、一見ネック角が寝かされてるように見えるが、特別何も触っていない。「峠をスムーズに走れないバイクが嫌い。気持ちよくサーッと走り抜けたいじゃないですか。だからネックはいじらないで作ろうと思っていた」、とのこと。
西田さんがバイクを一台作るときは、全体のバランスを重視する。そのため、特別なカスタムポイントというのは無いが、敢えて挙げるのならばオイルタンクのスイッチだ。
パッと見ではなかなかその労力をうかがい知ることは出来ないが、結構な手数を要した部分である。アルミのブロックからお椀状のパーツを旋盤で削り出し、それが入るようにオイルタンクに受け穴をくり貫いた。そして、双方を溶接でつなぎスイッチを入れて内部を加工している。
フレームの隅々にまで行き渡った新潟県のライズによるペイントワークも圧巻だ。こちらは製作の1~2年前から「どこかのタイミングで紫をベースにしたチョッパーを作るからイメージを膨らませておいて欲しい」と、ペインターに依頼していたアートワークである。
HARLEY DAVIDSON FLATHEAD U 1937 DETAIL WORK
GIRDER FORK
オリジナルのガーターフォークは6インチオーバー。見栄えのみでなく、妥協なく性能に拘り製作される。
GAS TANK
スピードメーターが埋め込まれたタンクには、新潟のRISEによりスペーシーなグラフフィックが入る。
ENGINE
‘30年代の純正ケースを使ったエンジン内部には信頼性の高い社外パーツをセット。不安のない走りを約束する。
OPEN PRIMARY
荒々しい外観を演出するオープンプライマリーはスコーピオン製。クラッチはロッカータイプとなる。
MUFFLER
なんともスタイリッシュなアップタイプのスラッシュカット。2本のパイプを束ねるマウントも秀逸だ。
SISSY BAR
シンプルなシーシーバーにフェンダーと、目立つ箇所のないリア周りだが随所に丁寧な仕事の跡が見て取れる。
BUILDER’S VOICE
JOYRIDE SPEED SHOP
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