
H-D FLH 1980
SATOMARI MOTORCYCLE
すらりと背負い込む
つらぬいた一本の筋
『語らずともかたる』。これは、言葉にしなくてもその人の態度や表情そのものが多くのことを物語っているのを意味するフレーズだが、まさにこの表現が作り手の佐藤さんを前にした時にはピタリとくる。

決して話すのが億劫(おっくう)なわけではないが、必要以上に声を出すことはない。聞かれたことに丁寧な返しをするものの、それが淀みなく続くこともなさそうだ。でも、その様子が不思議と板についている。
このカスタムをどう見て欲しいかを自ら率先してアピールするのではなく、逆に、どう見えるかを黙して見る人にすべて委ねてしまう。そうした達観した姿勢が佐藤さんからは透けてのぞく。

コンセプトは、レーシーな感じを取り入れたチョッパーだと言う。今年2025年のカスタムバイクショー『JOINTS』に向けて製作した一台は、全体のバランスにことに目を光らせたもので、それをカタチにする各ディテイルの作り込みは当然のごとくサトマリ節が炸裂したものだ。
どのディテイルに対しても生半可なフィニッシュで済ますことのない美なる完成度が同店の本領だが、まずガスタンクやリアフェンダーにその熱量をダイレクトに照射。
車体とバランスさせたシャープなタンクフォルムのガスキャップ付近には鉄棒を一周させ、そこが骨張らないよう滑らかにモールディング。そして、同じくリアフェンダーの両横にラインやリブを鉄棒と鉄板であてがった後にパテを打ってスムースに処置。

また、オイルタンクにもアクセントを加え、表面のフチ全周にラインを入れて立体的に造形。フットコントロールもハンドワークによる精緻な加工で構成され、それらエンジン周りを占める磨き上げられた銀色の世界が艶やかに発光する。
「プライマリーカバーもアルミで作ってます。これはお客さんの足が入らないようにそこだけちゃんとカバーしてデザイン性を出してって感じです。真ん中のところだけアルミを切って溶接でつないでですね」

その旋盤をひいてアルミ材で製作したプライマリーカバーや、車格と均衡させるために鋳物の風合いを取り入れ単一で用意したスイングアームと、どの部位に対しても不備はない。実に姿勢の良い、背筋がぴしりと伸びた品位のあるマシンだ。

耳を澄ませば、作り手の内面にある強靭なタッチと、優しくそよぐような弱音がどこまでも自然にすらりすらりと行き来している。音色は自由自在に変化を遂げ、その律動は一本の筋を通したまま終始崩れることがない。
HARLEY-DAVIDSON FLH 1980 DETAIL WORK

FRONT FORK
ダイナ用フォークを端然とスムージングして装着。ハイマウントのヘッドライトはFLHのフォグランプを転用。

GAS TANK
ナローなシルエットに成形したスポーツタンク。ガスキャップの周りに鉄棒を回し、なだらかにモールディング。

FOOT CONTROL
オーナーの希望する乗車ポジションに合わせたハイミッドのフットコントロール。手作業で美しく造形される。

PRIMARY COVER
前後のドームカバーは旋盤をひいてアルミ材でワンオフしたもの。中央のカバーも同じくアルミで単一製作。

REAR FENDER
純正品を詰めたフェンダー両脇にラインとリブを鉄棒と鉄板で肉付け。その後スムースにモールディング処理。

SWING ARM
前後23/18インチの大径ホイールを装着。スイングアームは車格に合わせて鋳物の風合いを入れプロデュース。
BUILDER’S VOICE
SATOMARI MOTORCYCLE
| 住所 | 広島県尾道市古浜町7-69 |
|---|---|
| 電話 | 0848-25-2829 |
| FAX | 0848-25-2829 |
| SHOP | サトマリモーターサイクルのショップ紹介 |
| 営業時間 | 10:00 ~ 19:00 |
| 定休日 | 月曜日 |

H-D FLH 1977
TRIBSA 1951







