遠藤自動車オートサービスのショベルヘッドのグースネックスタイルハーレー 1979年

H-D SHOVELHEAD 1979
ENDO AUTO SERVICE

September 18th, 2025

ロー&ロングはショップの王道
地を這うようなグースネックマシン

人が乗ってこそオートバイである。しかし多くの人は無人の造形に美しさの錯覚を覚えるのだ。『遠藤自動車サービス』は常時100台近くのハーレーダビッドソンを在庫する。その展示車両の中から、この’79年式ショベルヘッドを見つけ出したオーナー。

ショップはロングフォークチョッパーやフリスコなど、数多くのカスタムを手掛けているが、グースネックも定番中の定番。その得意とするグースネックの中でも、前後16インチタイヤを装着した王道とも呼べるロー&ロングスタイルの1台だ。

遠藤自動車オートサービスのショベルヘッドのグースネックスタイルハーレー 1979年

アメリカのパートナーファクトリーと開発したグースネックフレームにマウントされるヴィンテージモーター。国内新規だからこそ合法的に乗ることができるそれに跨ると、まずはフレームワークとともにロー&ワイドなハンドルバーが作り出すライディングポジションの低さに驚きを覚え、走り出すと近い地面にライダーは恐怖を植え付けられるはずだ。

遠藤自動車オートサービスのショベルヘッドのグースネックスタイルハーレー 1979年

青みがかったグレーに仕立てられたリアフェンダーの浅いリブに合わせるように、同色のガスタンクにも浅いセンターリブが施されている。その小さなガスタンクにはオーナーの依頼により美しいバラが描かれている。東京のペインター『エッセンス』によるドローイングだ。

遠藤自動車オートサービスのショベルヘッドのグースネックスタイルハーレー 1979年

バラの枝葉が延長し、絡みついているようなイメージを与えるメッキマフラー。ほかにもキックペダルのアーム、エアクリーナーカバー、ポイントカバー、ジョッキーシフト、ウインカーカバー、74スプリンガーのスプリングなど随所にメッキを施しているが、バランスよく散りばめられているので決して華美ではない。

遠藤自動車オートサービスのショベルヘッドのグースネックスタイルハーレー 1979年

渋く金に輝くテールランプ、ジョッキーシフトグリップ、ガスタンクキャップ、ブレーキレバー、フットペダルなどは真鍮製で、こちらも同じくバランスよく散りばめられているので重厚感があり、トータルとして品格を覚えるカスタムバイクとなっているのだ。

「危険な香りがする」とはオートバイによく形容される言葉だが、このショベルヘッドはあだっぽさのあまり危険な香りは存在しない。だがグースネックのロー&ロングスタイルゆえに、ライダーの間近に恐怖が迫っていることを忘れてはならない。

遠藤自動車オートサービスのショベルヘッドのグースネックスタイルハーレー 1979年

しかし『感傷』に浸る必要もない。恐怖とはあくまで主観であり、感覚は克服できるものでもある。その感覚を克服できたときを人車一体という。オートバイは『鑑賞』に浸るものではなく人が乗り、走り出したときに、本当の価値が輝き出すものである。

(文/野上真一)

HARLEY-DAVIDSON SHOVELHEAD 1979 DETAIL WORK

ショベルヘッドのグースネックスタイルハーレー 1979年のフロントフォーク

FRONT FORK

ネオファクトリー製74スプリンガーにショップオリジナルのハンドルを装着。ブラックリムはミッドUSA製。

ショベルヘッドのグースネックスタイルハーレー 1979年のガスタンク

GAS TANK

オーナーのオーダーにより青みがかったグレーに塗装されたガスタンクには妖艶なダークのバラが描かれた。

ショベルヘッドのグースネックスタイルハーレー 1979年のキャブレター

CARBURETOR

EVOに純正採用されている信頼度の高いCVキャブに交換し、ヴィンテージモーターにドーピングを与える。

ショベルヘッドのグースネックスタイルハーレー 1979年のオープンプライマリー

OPEN PRIMARY

オープンプライマリーはBDL製の2インチモデル。セルスターターも装備し、始動性が高くなっている。

ショベルヘッドのグースネックスタイルハーレー 1979年のマフラー

MUFFLER

ワンオフ製作されたメッキマフラー。波打つフロント側にリア側が交差し、イバラが絡みつくのを連想させる。

ショベルヘッドのグースネックスタイルハーレー 1979年のリアフェンダー

REAR FENDER

シート、シート下のオイルタンクもショップオリジナル。リアフェンダーはガッツクローム製のリブフェンダー。

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