
H-D XLH 1965
CYCLESICK
受け継がれ、捨石を削る
眠れるチョッパースピリット
過去に、九州有数のヴィンテージチョッパーショップにて修練を積み純粋培養された、おだやかな呼吸を持ったショップである。
主人の藤丸さんは修行時代に、本国から輸入されてきた数多くのリアルなチョッパーに触れることで知見を深めてきた。その恵まれた環境での実践がいまの仕事の糧(かて)となっている。

もともとロングフォークチョッパーが好きだった氏が、自店を構えて初めて仕上げた一台。聞けば、ここまで長いのは扱ったことがなく、手元にあったフレームを使いそのフレームが一番活きるカタチを作ろうと考えていたところに、ちょうどよくこのベース車が入って来たそうだ。
「デンバーズ製のフレームっぽいんですけど本物かは分からないです。これは一回、自分の作りたいものを思いっきり自分の考えだけでやってみたいと思って作ったものです」

何はなくともフロントフォークだろう。FL用のワイドトリプルに合わせた14インチオーバーがかなりの威力である。通常、このシルエットでいけばナロースプリンガーを選びたいところだがあえて若干の変化球を狙いテレスコフォークのマッチョスタイルに。
また、その豪儀なインパクトに反して、わずかに立ち上がった30度のネック角により車体の取り回しもノンストレスな操作感である。

マフラーも弾んでいる。アグレッシブな左出しとされたデザインは’50年代のクルマのドラッグレーサーをイメージしたもので、ここから火が出たら格好いいというピュアな思惑でセットした部位だ。
一方、フレームを柱石としてガスタンクやフェンダーを一体化させたモールディングも作り手の熱量が多分に注がれた箇所で、フロントからリアにかけて流れるようにつながるラインを出すのに力が尽くされた。

そして、塗装に関しても藤丸さん自身がガンを握っている。以前からやってみたかったと話すこの風合いは1960年代終わりから’70年代初頭のバイクやアメ車に見られたぼかしのペイントで、目の粗いメタリックを使うことで表現している。

「なんで自分でほとんどやるかですか? まあ、元々このカルチャーって一人で全部やって作り上げるから魂が入ってるわけなんで。僕もそういう教育をしてもらって来てますし。チョッパーっていうのは自分でやるもんだよっていう」
作り手の魂が宿る。一見重い言葉だが、元をたどれば、このカルチャーはそうしたかの地に生きた先人たちのアティテュードのもとで繁栄をみせ、裾野を広げてきている。
HARLEY-DAVIDSON XLH 1965 DETAIL WORK

HANDLE
ライザーとハンドルにはヴィンテージパーツを選択。全体のマッチョな雰囲気を後押しする要(かなめ)のパート。

FRONT FORK
FL用トリプルツリーに14インチオーバーのフォークをセット。インナーチューブには’70年代のパーツを採用。

GAS TANK
フレームは確信が無いがガスタンクはデンバーズ製である。塗装は自らが施したメタリックのぼかしペイント。

DOWN TUBE
ダウンチューブに鉄棒を巻き付け造形した後にパテでモールディング。あらゆる箇所に作り手自らの手が入る。

MUFFLER
トリッキーな左上方出しとされたマフラーは’50年代のドラッグレーサーをイメージ。そのインパクトは大きい。

SEAT
色味を合わせたシート下もモールディング。タンク後部のくびれや滑らかな接合部を出すのに苦心したと言う。
BUILDER’S VOICE
CYCLESICK
| 住所 | 福岡県福岡市中央区大手門3-8-14 |
|---|---|
| 電話 | 092-406-2955 |
| FAX | 092-406-2955 |
| SHOP | CYCLESICKのショップ紹介 |
| 営業時間 | 10:00 ~ 20:00 |
| 定休日 | 月曜日 |

H-D FX 1977
H-D FXRP 1992







