
YAMAHA SR400 1995
THE WACK CUSTOM MOTORCYCLE
低くて長いを追う
後をひくパパラッチ
国産のチョッパーを触らせたら東海地方傑出。特にSR400を使ったオンリーワンの見栄えは相当なもので、派手さで人目を惹くというよりは内側からにじむ円熟の味わいで光度を増すタイプのショップだ。
ゆえに、どのチョッパーを見渡してもチョッパー固有の鋭さの中にも、落ち着いた大人のムードが流れている。

今回の計画に当たっては、最初から明確なテーマがあったわけではない。唯一あったのは『低くて長い』マシン。その漠然としたキーワードをもとに、作り手の加藤さんは毎度の伸びやかな感性で製作に着手した。
まずはフレームワークに拠点を置き、基盤となる骨格を形成した後に、各パートを造作。低くて長いスタイルを追求し膨らませた末に行き着いたのは『ディガー』ライクなフォルムで、その成業に向けてまずはガスタンクとオイルタンクを同デザインで創出した。

とにかくデザイン的にガソリンタンクを貫通させたかった氏は、タンクを上/中/下の3パートに分けて作製。
先に『中』のトンネル部分から始めてそこに貫通させた角パイプを溶接した後に、プリズミック型に用意しておいた『上』『下』面をフタをするように接合。次いで、同じ要領で手の込んだオイルタンクも設置した。

「両端を溶接して、実は中も溶接しました。なのでどう作ろうかと、どういう順番で溶接していけばいいんだろうというのは悩みました」。この、既成品のプリズミックタンクを使った加工とは訳が違うところに、氏の物作りに対する好きさ加減が現れている。

一方、リア周りは5インチのフラットフェンダーをベースに若干延長して曲げ、フチに角パイプを這わせてボリューミーに成形。それを支持するシッシーバーには、テールライトカバーをスムースにつなげ、更に頂点に芸度の高いオーナメントを付帯。
先と同様に既製品に頼ることなく、こうした部位まで自らの手で作りだす嗜好が同店のカスタムへのときめきそのものである。

全体を見てみたい。貫通させたガスタンクの四角いデザインは至るところで符号する。オイルタンクにマフラーエンド、エアファンネル、フットペダルと、節度を超えることなく逆によく見ないと気付かない配慮がまた効果的な演出となる。
そして仕上げの塗装はキャンディパープルである。『ディガースタイル』と『キャンディ』という派手になりがちな会席を当然のこととして、しっとりと落ち着いたものに支度。チョッパーの奥ゆきのある酸味が後をひく。
YAMAHA SR400 1995 DETAIL WORK

HANDLE
統一した角パイプのデザインでティラーバーを作製。オーナーと打ち合わせたベストなポジションでマウント。

FRONT FORK
フォークは4インチオーバーの74スプリンガーナロー。低く長い『ディガー』ラインと見事なバランスを見せる。

GAS TANK
3本貫通したデザインのプリズミックタンク。上/中/下の3パートに分けて丹念に造作。塗装も加藤さんが行う。

OIL TANK
オイルインフレームを廃しハーレー同様の位置に移設。ファンネルなども角デザインで統一し、完成後を高める。

REAR FENDER
ワンオフでしか成し得ない立体的形状のフェンダー。フチに角パイプを這わせて厚みを加え丁寧にスムージング。

SISSY BAR
徹底して手が入れられる。テールライトカバーは滑らかにつながれ、頂点は独創したものをアクセントにする。
BUILDER’S VOICE
THE WACK CUSTOM MOTORCYCLE
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|---|---|
| 電話 | 0575-48-0428 |
| FAX | 0575-48-0428 |
| SHOP | THE WACK CUSTOM MOTORCYCLEのショップ紹介 |
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