H-D FL 1980
SPIKE CHOPPERS
はかなく目に染みる
アンダーグラウンドの微笑
伝えたいことはうんとある。中部地方きってのチョッパー屋だというのは広く知られたところだが、もっと踏み込んで、ここまでロングフォークチョッパーに魅せられ、自分の人生をかけ続けるビルダーもそういない。
脇目もふらず、ただただ狂信的に、まだ誰も到達したことのない高みに向かって戦闘の構えを崩さない。金子さんの人生は、常にチョッパーと共にある。
この一台は、持ち込みで訪れた4速フレームのオーナーの車両を、ハードテイル化してリジッド風に改変したもの。そのボルトオンハードテイルの装着にあたり、本来は地面と水平基調のシートレイルを落とすことで、リアアクスルまでのパイプラインを均整の取れたトライアングルに形成。
また、そうすることでリジッドフレーム用のオイルタンクを設置。通常はシートレイルとタンク間のクリアランスがかなり空く所だが、シートレイルを限界まで下げたことでその問題点もクリアしている。
一方、こちらがいろいろと尋ねる内容に対して金子さんはなんらお構いない。必要最低限の返答をぶっきらぼうに話す風体は氏のトレードマークですらあるが、それが嫌味なく、相手の心にぽっと温かみを与えるような度量がそこにはある。下手に八方美人な人間よりもよっぽど気持ちがいい。
「飛びこみっていうかちょっと知ってるやつだな。良くしてやってる俺が(笑)。大変だったのは特別ねえな。パテこすりぐらいかな(笑)。やってみてどうかって? いやカッコいいと思うよ」
ハードテイル化したフレームワークである。ダウンチューブとリアアクスル手前にガゼットプレートを配し、そこにスネイクを模したフレイムス柄で化粧。慣れたテクニックでセブンティーズの色合いを高めている。
そして、フロントフォークも一品製作したもので、ハンドルのワイズに合わせて下腹部の幅を広げ、そこにダウンスプリンガーを左右にダブルマウント。このセクションひとつ取ってみても延々と説明できる内容のはずだが、先のように、肝心の当の本人にそのつもりがない。
これまで金子さんが繰り出してきたチョッパーの数々は、ものの見事に雑誌の表紙を飾ってきたが、そんな名声に反して広報活動に興味のない氏の認知度はまだまだ改善の余地しかない。
だけど氏にもっとも近しい人は、「アンダーグラウンドで良いんだよ。あいつはそれが良いんだよ」と言った。確かに。表舞台ではなく、水面下のカリズマの美学というのも一理ある。
HARLEY-DAVIDSON FL 1980 DETAIL WORK
HANDLE
セブンティーズチョッパーが好みのオーナーに合わせて製作。往年の色濃いシックスベントハンドルとした。
FRONT FORK
ワンオフのダウンスプリンガー。ハンドルのワイズに合わせて下部を広げ、フロントレッグはツイストデザインに。
GAS TANK
デッドストックのコフィンタンクを横にハーフチョップ。スネイク柄フレイムス間にグラフィックを転写。
DOWN TUBE
フレームダウンチューブにシュラウドを造作。鉄板で形作った後にパテを盛って成形。丁寧に面が出されている。
MUFFLER
マフラーはカクテルシェイカーのエンド部を鷲口型に改作。シッシーバーの下側にのみツイスト加工を施した。
HARD TAIL
4速フレームをハードテイル化。シートレイルを下げリジッド風に演出。上下パイプ間にガゼットプレートを付帯。
BUILDER’S VOICE
SPIKE CHOPPERS
住所 | 新潟県新潟市北区島見町字坂ノ下3861-22 |
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連絡先 | インスタグラムのDMから(https://www.instagram.com/spike.choppers/) |
SHOP | SPIKE CHOPPERSのショップ紹介 |
営業時間 | 不定 |
定休日 | 無休(イベント時除く) |