H-D EVOLUTION 1992
MAD LOUT MOTORCYCLE
懐にあたためてきた
伝導のインボードディガー
数あるカスタムスタイルの中において、ひときわ妖美(ようび)で独創性を持つのがこのディガースタイルだろう。
ディガーカスタムといえば「マスターオブカスタマイザー」の称号を持つ故アレンネスが王位だが、こちらの一台は、その世界的カスタムビルダーがかつて創造したマシン群からインスパイアを受け製作されたものだ。
「アレンネスのディガーを意識して作ってます。でもそっちに寄せ過ぎるとちょっと運転しにくいんで、乗れるハンドリングのディメンションで組もうかなと思って作ったバイクですね」
作り手の住友さんにとっては、ずっと作りたかったバイクの内の一台だったと言う。そして、新しいことへのチャレンジに対する不安よりもワクワクの方が圧倒的に勝っていたと話す氏は、得意のボディワークでエクステリアを滞りなく構築し、足周りに一層気を引き締めている。
「外装は別に叩いて溶接してカタチにするだけなんで、まあ大丈夫だろうなとは思ってたんですけど、足周りが賭けでした。出来るかどうか分からないけど、スポークホイールにインボードディスクを付けるのをずっとやりたかったんです」
1981年からホンダCBX400Fに採用されたインボードディスクブレーキ。国産旧車にも触れ合う機会のあった住友さんは、そのデザイン性の高さからスポークホイールと合わせればハーレーでもマッチするのではと、期待を膨らまし現業に専心。
特にフロントよりもインチ径の短いリアホイールに相当の労苦を費やすが、結果的にこれまであたためていた初の試みは晴れやかに身を結んだ。
一方、ボディワークに関してはさらりと話すものの、その内容も当然濃い。画用紙から型紙を切り出してから始まる鈑金は、1.6mm厚の鉄板を叩き出し成形していくもので、ガスタンクは都合3回作り直した末に結着。
もとより、フロントからリアフェンダーへとつながる艶めくラインを見れば、どれほどカスタムに純真に向き合う人間が携わった仕事かが瞭然である。
「特にあれですけど、このバイクはアウトラインと足周りかなと。僕はカッコいいと思って作ったんで、カタチになるとやっぱり頭の中で描いたやつはカッコ良かったんだっていう安心感(笑)。まあ完全に自己満足ですけどね」
無機的なバイクであって、そうではない。ぬるいお風呂に浸かっているところに熱いお湯をどんどん足していくみたいに、作り手からの熱がじかに肌に伝わってくるようだ。
HARLEY-DAVIDSON EVOLUTION 1992 DETAIL WORK
FRONT FORK
フォークにヤマハSR用をセット。21インチホイールにホンダCBX用インボードディスクブレーキを設置する。
GAS TANK
奇抜なデザインのタンクも含めて全部で3つ製作した上でこれに落ち着いたとのこと。塗装はSペイントが担当。
ENGINE
パイプ径の太いリジッドフレームにEVOモーターを搭載。迫力あるキャブは車用のウェーバー製をセットする。
MUFFLER
左右出しとした左サイドのショートマフラー。フットステップ一帯は現行の純正品を使い、周りと違和感なく調和。
REAR FENDER
柔らかなアールラインを持たせて成形したリアフェンダーとオイルタンク。鈑金加工に強い作り手の技が光る。
INBOARD DISK BRAKE
初の試みとなったスポークホイールへのインボードディスクの装着。トライ&エラーの末に完遂した力作箇所。
BUILDER’S VOICE
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