H-D XL1200N 2014
KATSU MOTORWORKS
九回一死でみせた
謎のホームスチール
嘘かまことか、毎度のことながら軽口から始まる店主勝本さんの会話の真偽は読めない。対面後のアイドリング時に話すその内容は果たしてジョークなのか、それとも本当なのか。判断に苦しむ放送コードすれすれのデンジャラスはまったくもって一筋縄ではいかない。
そしてそのまま取材時間だけが刻一刻と過ぎてゆくが、場が温まってきた頃合いを見計るかのようにして胸襟を開いて話し出すのも彼のいつものルーティンだ。
言葉を引き出すのがことさら難しい。自ら率先してカスタムのことを説明することはなく、こちらの質問にスムーズな返しが来ることはおおよそ半々。じっくり思考を練っているのか、はたまた何か別のことを考えているのか、ちょっとした膠着(こうちゃく)状態が続くのは恒例のことで、その白兵戦の先でようやくコメントがくねりだす。
「作ったのは今から10年前です。その時にロンスイにしたんですね、太いタイヤを履かせたいということで。180のワイドタイヤを履かせるために30cmスイングアームを伸ばしてます。下側に補強も入ってるのでしっかり走ります」
完全オリジナルのロングスイングアーム仕様。どんなカスタムスタイルの枠にも収まらない型破りなアイデアが遠慮なく炸裂している。見ていて清々しいほどの他に迎合しない創造性が小気味よくスイングする。
他に、タンクに付けたオフ車用シュラウドやシート下に設置したブルーのネオン管、更には車体左側に付けたダミーのエアクリーナー。そして、2連ヘッドライトとエンジンガードのフォグランプからなるSFなフロント周りと、通常のセオリーや手法をスルーした独壇場が続く。
「ロンスイに付けたこのトラス構造っていうんですか、ゴールドのがめっちゃ大変でした。リアフェンダーのステーと、あとスイングアームのちょっとした補強も兼ねてるんですけどジグから用意して作ってますから」
そのまま溶接するとどうしても歪んでしまう。そこでジグから製作して、パイプを一本一本つないでいき構築。見た目のインパクトのままに、それ相応のエネルギーを費やして形にした部位であり、このマシンのハイライトにもなっている。
実に自由なカスタムバイクだ。何々スタイルではなく、オーナーの希望のみを汲み取った純然たるオンリーワン。どのオーナーにとっても自分のバイクが一番なのは間違いない。そして、その夢をカタチにするのが作り手の仕事であり、もっといえば使命である。
HARLEY-DAVIDSON XL1200N 2014 DETAIL WORK
FRONT END
純正フォークに独国製2連ヘッドライトを、エンジンガードにフォグランプを装着。フェンダーはオフ車用となる。
SHROUD
アイキャッチになるシュラウドはYAMAHAオフ車用。タンクは艶消しグレーで塗りザラザラな肌感とされた。
AIR CLEANER
左にダミーのエアクリーナーを設置、オーナーのトリッキーな遊び心が現れる。各所にはゴールドパーツを散らす。
MUFFLER
マフラーにヨーロッパのアクラポビッチ製を採用。オイルタンクやカムカバーは外装同様に艶消しグレーで統一。
NEON TUBE
ショートカットしたシート下にはブルーのネオン管をセット。この辺からもオーナーの自由な発想が伺える。
SWING ARM
30cm延長させたスイングアームの表上にトラスデザインのステーを配備。ジグから用意して製作した渾身の部位。
BUILDER’S VOICE
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