YAMAHA SR400 1993
LAMP CYCLE
ストリートから夢見る
遥かなるサンドフラッツ
キレのあるブルーの車体に、異形のフロントエンド、そしてブロックパターンの厳ついタイヤ。なんとも犯しがたい風体を魅せるマシンである。この個性的な一台を製作したのは、「ストリートに映えるSR」の造り手として知られる福岡の『ランプサイクル』、その主である松隈さんだ。
ベース車両としてオーナーが持ち込んだのは、数多のSRを手掛けてきた松隈さん自身も実物を見るのは初めてだったというガーターフォークの付いたSRだった。
「オーナーからは『お任せで好きなように作ってくれ』と言って頂いたので、このフォークを活かしてレーサーっぽく作れないかなと。そういうテーマで作り始めました」
イメージしたのは石川県の千里浜を筆頭としたビーチレース、サンドフラッツ。砂浜の直線を駆けるSRレーサーだった。
角度的に少し寝ていたというガーターフォークは、ダンパーを長めの物と入れ換えて角度を起こし、トラッカー然としたポジションを確保。そこにHoosier製のモトクロスタイヤを履かせ、マシンを一気にヴィンテージなサンドフラッツレーサーの雰囲気に引っ張り込む。
フレームはSRの特徴であるオイルインフレームを活かすべく、シート位置まではアンカット。シート下からリアエンドまでをカットしてリメイクした。これによって生まれた空間から、フロントと同じくHoosierを履いたリアタイヤがその姿を一層強く主張する。ワンオフ製作された特徴的なエキゾーストやスイングアームも同様だ。
外装にも注目したい。FRP製のタンクとリアフェンダーまではワンピースで、トレイシーボディ然とした造形を具現。ショートなフェンダーもまた、リアタイヤの存在感を助長させている。これら外装類とフレームは、同店にてブルーのメタリックにてペイント。そのブルーもグリーンを少し混ぜることでわずかにくすませたというこだわりのカラーだ。
そこに福岡を拠点に活動するピンストライパー、Boo氏によるゴールドのフレイムスが走る。少々古めかしさを演出したというフレイムス。先端にアクセントとしてさり気なく配されたパープルが何とも粋だ。
魅せたいパートに目を引かせるため、エンジンや足周り辺りは敢えてブラックアウトしている点も心憎いポイントだ。
ガーターフォークという個性的なパーツを使いつつも、バランスよくフィニッシュされたマシン。ランプサイクルらしい「どこかレーシーで、かつストリートにも似合う」というコンセプトは、見事に踏襲されている。
(写真・文/マツモトカズオ)
YAMAHA SR400 1993 DETAIL WORK
RISER
ライザーは北海道『ブルースモービル』製。ワンオフハンドルは低さと短さが特徴的。グリップはIKワークス。
FRONT FORK
詳細は不明だが、メカメカしいリンク構造など、その際立つ個性でこのマシンを特徴づけるガーターフォーク。
EXHAUST PIPE
パイプには排圧を上げるパワーボムと呼ばれる機構を設ける。モトクロス経験者の松隈さんらしさが現れた箇所。
MUFFLER
パイプは排気の長さを稼ぐべく左側へと取り回した軌道に。車体の左サイドにも見せ場を作る演出にも一役買う。
SEAT
ワンオフのシートはタンクの長さに合わせて製作。長めのシルエットは、レース時の前傾姿勢にも対応可能だ。
SWINGARM
旧き良き時代の雰囲気を醸すべく、2本のパイプを用いて製作されたスイングアーム。グレーの配色が絶妙だ。
BUILDER’S VOICE
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