TRIUMPH TR6 1967
SHALLOW MOTORCYCLE SHOP
名古屋から響くパーツブランド
『TRADS』のシュピレヒコール
派手さとは対照的な、一歩引いた趣(おもむき)がある。しゃしゃり出た印象とはほど遠いこの物腰は『シャロー』のカスタム全般に言えることで、いわずもがな、それは作り手の人柄と密接に結びついている。
全国有数の巨大都市、名古屋の街並みに溶け込む佇まいが同店のカラーで、なんら無理に寄せにいってない自然体が地元の空気と同化している。そしてこれは、大都市では全身華美な姿よりも、ほんのわずかに帯びた輝きの方が際立つという模範的な説をも実証している。
「コンセプトですか? ……別になんですけど、結構新しい部品を作って、それを付けてもらっていった感じですね」。店主の浅井さんの言葉にはひと言ずつの余韻がある。
まずは自身の頭の中で考えを落とし込んだ上で初めて、それを言葉にのせる。そこには、大地の奥で気体が結晶となる時のようなわずかな静寂があたりを包んでいる。
氏が新たに立ち上げたパーツブランド『TRADS(トラッズ)』。「古き良きものに敬意を払い、新しい息吹を吹き込む」ことを指針としたプロダクトだが、それを今回のTR6のカスタムに投下。主にドッグボーンライザーとシート、ガスタンクである。
まず、ドッグボーンライザーは既成品の左右間の長さが広いのを嫌い、そこを内側へとオフセットさせ短くしたものを開発。また、ドッグボーンライザーの特性上、縦2本のライザーと上下のハンドルとマウントパイプからなる四角いフォルムがどうしても気になる点も払拭したものだ。
次にシートは、ベイツのレプリカタイプとした本革製で、トップの表皮とサイドの継ぎ部は縫い目の見えないステッチ仕上げとし、メッキのシートパンとビス留めにした作りがポイントになる。そして、その際使用するワッシャーは国内では販売されていない希少品を採用するというしゃれっけが添えられた。
ガスタンクはヴィンテージワッセルを思わすデザインと、コンパクトなブリティッシュキャップが山場となるが、それを覆うペイントワークもたけなわだ。一般ユーザーはもとよりプロショップからの外注依頼も列をなす浅井さんの腕は確かで、クラックやエイジング塗装の領域でその力が振るわれている。
現在、トライアンフのカスタムに身を入れる一方で、オリジナルパーツブランド『TRADS』にも傾注。並ならないこだわり派のショップが手掛けるプロダクトには既に、ペイントワーク同様、プロアマ問わずカルティストらの充血した目が張り付いている。
TRIUMPH TR6 1967 DETAIL WORK
DOG BONE RISERS
TRADSオリジナルのドッグボーンライザー。内側に約17.5mm、左右で35mm内側へオフセットされたタイプ。
FRONT FORK
トライアンフ純正フォークを使い、ブーツを外してスプリング部を露出。汎用のブラックヘッドライトを装着。
GAS TANK
TRADSオリジナルタンクはヴィンテージワッセルを思わすデザインで開発。リアルなクラック塗装も得意とする。
ENGINE
TR6特有の高回転域まで快活に吹け上がるライドフィール。ストックエンジンながら十分なポテンシャルを保持。
SEAT
ベイツタイプのTRADSシート。トップとサイド表皮のステッチを見えないようにし、メッキのシートパンを使用。
MUFFLER
大きくゆるやかに曲がった軌道を確保すべく手曲げで製作。エンド部はスパッと切り離しレーシーな装いに完遂。
BUILDER’S VOICE
SHALLOW MOTORCYCLE SHOP
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