
H-D FLH 1967
FATECH
ホットロッドの筋金と
アーリーフリスコの飛沫
『ホットロッド』と『アーリーフリスコスタイル』がキーワードのチョッパーだ。製作は物作りの名工として地盤を築く東京の『フェイテック』。主の渡辺さんが触るマシンは常にホットロッドのテイストを取り入れるが、そこに今回、’67年のモーターを搭載することからフリスコスタイルの黎明期もソースとした。

「それともう一つのテーマは1969年にニューヨークであったウッドストックフェスティバル。’67年製のオリジナルバイクをお祭りに向けて派手に改造して遊びに行こうぜ! みたいな。まあ架空ですけどそういうのを考えて作ってみました」
サイケデリックで少しぶっ飛んだフレーバーを加えたかったと言う。それはシートのステッチワークやエッジの効いたハンドルなどに現れるが、やはり同店の本陣は白眉(はくび)な作り物だろう。中でもフレームワークに関しては殺傷能力が高い。

レプリカのハイドラグライドフレームをベースに、ステム位置を約1インチ下げて改装。そこを基点にしておおかたのフレーミングをやり直すが、ラグの部分は敢えて純正に見えるようデザインをそのまま踏襲。
しかしよく見ると、オリジナル箇所の下側は半自動溶接で上のメインチューブ側はTIG溶接と、2種の溶接手法が混在するマニアックな痕跡が残る。

更に、ステム部分の入り組んだパイプワークは往年のレースフレームや、アウトサイダーのチョッパーガイが好んだマシンに見られたデザインで、曰く、「凄く手間がかかる」部位ながら手加減はない。
この、労力よりも自身が目指すクオリティの実現に全てを賭(と)す姿勢は氏の物作りの基盤となるものだ。一方、タンクのリブデザインである。

リアフェンダーと同じようにタンク上にリブを立てるが、実はこの部位、鉄棒を乗せて溶接したのではなく、アッパーとロワーのダイス(金型)から準備して専用のシートメタル機で鉄板を叩き出して製作したものだ。
他にも、性能と音質を担保しながら左右に出張らないようごくタイトに収めたマフラーや、時代考証を踏まえてわざわざ純正加工風に見えるように手作りしたフットコントロールなど、単に作り手の『こだわり』という表現だけでは追いつかない一念がすべてにわたって貫通している。

こうした常人には理解の及ばない手間暇の入魂は、同店が掲げるホットロッドのカスタムマナーとアーリーフリスコスタイルへの礼賛から来ている。そして、この両軸をもってこのカスタムは大地を潤す。
HARLEY-DAVIDSON FLH 1967 DETAIL WORK

HANDLE
ハンドメイド固有のアールラインを持つエッジーな造形。左右均等の難度の高い作り物も経験値がカバーする。

FRONT FORK
約3度レイクされたフレームに74スプリンガーを装着。ライトはナッシュモーターズ社に供給されていた4.5インチ。

GAS TANK
タンクのリブは、ダイスを用意してそこに鉄板を専用機で叩き出して成型。塗装はシェイキン清水さんが担当。

FOOT CONTROL
当時は社外品の概念がなかったことから純正を加工して作った雰囲気にワンオフ。パーカーライジング仕上げ。

OIL TANK
シート下にピタリと収まるオイルタンク。ウインカー/ハイ・ロー/メーターボタン/イグニッションを格納。

MUFFLER
マフラーは左右に出張らないよう車体に食い込ませノッチ。途中1-3/4から2インチに拡大し性能と低音を増す。
BUILDER’S VOICE
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H-D FXE 1980
KAWASAKI W650 1998







