H-D SHOVELHEAD
ENDO AUTO SERVICE
ヴィンテージモーターを積む
ニュースクールの異端児
長く、そして高くそびえるスプリンガー。ライザーを頂点にタンクからシートへと下るライン。それは美しくも均等な二等辺三角形を描く。搭載されたモーターはショベルヘッド。と、ここまでの文字を想像すれば、クラシカルなロングフォークチョッパーが思い浮かぶかもしれない。
群馬県の『遠藤自動車』といえば、ロー&ロングポジションという遺伝子を世に送り出している。そのDNAを受け継ぐこのショベルは、心臓部こそヴィンテージであるものの、スタイルはニュースクールというチョッパー界の異端児。
これまでにショベルとのセットを見るのが稀な極太310サイズタイヤをリアに履き、ワイドなメッキリムにはジュエルスポークがキラキラと輝く。
丹精に磨かれた部位をより輝かせるのはクロームパーツだけではなく、至る所に施された彫金にも一因がある。ヘッドライト、ロッカーカバー、キャブ、ミッション、オイルタンクとエマージェンシータンクなど。
これだけ多くのパーツに彫金を施すということは、どれだけの時間を費やし、どれだけの心意気を刻み込んだことだろうか。しかし彫金はこれで仕上げではなく、今後まだまだ掘り進めていく予定だという。
この製作にあたっては、かつて『遠藤自動車』が手がけた作品の中に、オーナーがお気に入りのチョッパーがあり、そのスタイルが指標となった。そこからのアップデートであり、コンセプトはラグジュアリー。遺伝因子を受け継ぎながら、オーナーのアイデンティティを埋め込んでいく作業だった。
1966年から’85年まで製造されたショベルモーターといえど、車両は国内新規登録となるため、ゼロスタート。瞠目すべきロー&ロングポジションのマシンを数多く手がけているので、注意すべきポイントは誰より知っている。
20インチオーバーの長いスプリンガーに負担をかけないようフロントブレーキレス仕様となり、その代わりにリアは制動力の優れたPM製キャリパーをダブル装着。
フレームは米国製のワンオフ。シート下にオイルタンクを設置することは不可能なほど極端にドロップダウン。その低き位置に鎮座するシートは一品物で、背後に迫る太いリアフェンダーもワイドタイヤを包み込むように単一で製作した。
ワンオフパーツの箇所は数多い。オーナーの依頼によりマシニングで先端を尖らせたライザー、ハンドル、マフラー、フェンダー……。それらをみごとにまとめ上げ、『遠藤自動車』という濃い遺伝子で表現している。
(文/野上真一)
HARLEY-DAVIDSON SHOVELHEAD DETAIL WORK
GAS TANK
大柄な車格にマッチするタンクにはウエストコーストチョッパーズ製を装填。シックな塗装が洗練度を増す。
ENGINE
離れて見るとニュースクールのチョッパー。しかし心臓部にはゴリゴリに彫金を施したショベルモーターが搭載。
OPEN PRIMARY
3インチオープンプライマリーのインナーカバー、その後ろに装着となったオイルタンクにも彫金が施される。
MUFFLER
真鍮のエンドキャップが特徴となる遠藤自動車製マフラーだが、このショベルにはワンオフのアルミ製が付帯。
REAR TIRE
極太310タイヤを履き、フェンダーはそのサイズに合わせて製作。キャリパーにはPM製をダブルで組み込む。
PAINT
見る角度により印象が異なるペイント。ゴールドリーフにキャンディーブルーを重ねることで独特な陰影となる。
BUILDER’S VOICE
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