H-D FL 1957
BOOTLEG
有識者に突き刺さる
悪寒のシリアルキラー
もう本当にぐうの音も出ないし、出すことができない。実際のところ、何人のチョッパーフリークの心を鷲づかみにして、そのまま握りつぶしてしまったんだろうか。そして、これを単に感度高く構築されたパンショベルのチョッパーとだけで片付けるのは何よりも避けたい。
素人よりも玄人の方にこそ強烈な電流が走る世界観でまとめられたプロポーションには、ビルダー菊原さんのチョッパーへの深い造詣が宿り、見る者の脈拍をたやすく飛ばしてしまう威力がある。
今回初めて、お客さん付きではなく自分の趣味だけで製作したカスタムショー出展のバイクだと言う。
まず、これまで自分が好きで使いたいと思い寝かしていたパーツやアイデアを詰め込んだチョッパーの骨格にはシングルダウンチューブを用い、そこに彫金を施したモーターを搭載。ツートンに塗り上げたエンジン側の彫金は、敢えて深く掘り込まず’70年代のアレンネスのディガーバイクなどに見られた浅めの彫金で仕上げている。
また、ここぞの時にストックしていたホイールにはセンターライン社製のディッシュタイプをおごり、1980年代後半~’90年代当時のリアルなアウトサイダーたちが好んだセットアップで武装。そこに初期型のPMディスクブレーキとエリートのホワイトレタータイヤを装着するなど、安易にドラムブレーキでクラシック路線に振らないところにも舌を巻く。
ちなみにフロントはノーブレーキで、彫金したブレーキローターが飾りな点もフリークには嬉しいトラップだ。
次に、ガスタンクやリアフェンダーのモールディングである。立体的造形を取り入れたタンクは取り外しできることを嫌って潔くフレームと一体成形とし、逆にリアフェンダーは裏でフレームとしっかりつながっているものの、見え方的にわざと隙間を空けてマウント。これはくどくなり過ぎるのを気にしての処理だそうだが、この高次のサジ加減が業界きっての軍師の目利きであり、第六感だろう。
「ペイントには完全に僕がただ映画の『羊たちの沈黙』が好きで、レクター博士とその関連を彫金にも入れてるだけですね。だからほんと自分が好きなのをうまく入れ込んだ感じです」
リセールを考えなくていい分思いきりフルスイングできる。そしてその結果がこれである。これまで多様なカスタムスタイルを第一級のクオリティで発信してきた氏がスイッチを入れれば、玄人衆がざわつき、目の肥えた人間たちがこぞって熱視線を送る傾向にある。
HARLEY-DAVIDSON FL 1957 DETAIL WORK
FRONT FORK
ヴィンテージのφ41ナロートリプルにほど良く伸びたフォークを装着。アウターチューブには旋盤で溝入れ。
GAS TANK
初期型ワッセルタンクには、映画内での硫酸によるケロイド状の人物を立体的造形で表現。中央にレクター博士を。
ENGINE
BOOさんにより蛾など『羊たちの沈黙』関連の彫金が施行。手法的には’70年代のネス風に敢えて浅めに彫られる。
FOOT CONTROL
マフラーヒートガードがフットステップを兼用。シフトスタイルは往年のハードコア達が好んだセットアップ。
REAR WHEEL
センターライン社製ディッシュに初期型PMディスクを選択。フレーム下部まで隙なくモールディングされた。
REAR FENDER
マフラーは左右2本出しで、フレームとフェンダーは敢えて一体成形させず空間を確保。塗装にメッキ塗装を重用。
BUILDER’S VOICE
BOOTLEG
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