H-D XLH 1995
CYCLE WEST
感謝と官能の
レイニングブラッド
斜め後方から見た時の官能は相当なものがある。もちろん、前方からの眺めも捨て置けるものではないが、ハーレーのスポーツスターでこのバランス感覚を見せつけられた日には始末におえない。
その良さは、車体を構成するディテイルうんぬんの話ではなく、ポンと街角に置かれた時のたたずまいにある。こうもストリートに馴染んでしまう姿を前に、この種のカスタム偏愛家たちの青筋が立ってしまうのも無理はない。
製作は埼玉県の『サイクルウエスト』で、ナローなパウコフレームを素材に使って、スポーツスター固有のスリムなエンジンとうまく合わせたところがコンセプトだと、作り手の西山さんは話す。
「普段他の車両だと強烈にナローなシートレイルだったりコンパクトなフレームを作ったりはやるんですけど、このフレームに関しては大きなモディファイはないです。まあちょっとした所の部品の構成というか、簡単には作ってないですけどね(笑)」
それは、オフセットさせたハンドルポストやタンクのマウント位置、マフラーのとりすましたラインなどから容易に推し量ることができる。また、前後18インチのホイールセットアップもその作戦のひとつで、ファイアストンのANSを履かせてチョッパーでありながらダートの残香を浴びせかけるのもリッチだ。
まず、フォークにFXRなどに使われるエボリューション用φ35を取り付け、続いてライザーに秘儀を投下。通常位置より約10cm手前にオフセットするよう専用ブラケットを創作し、それを三つ又の上ではなく下から通して設置。これによりスタイリッシュなハンドル周りを演出するのと同時に、ステムとガスタンク前側の隙間をさりげに調整している。
一方、一品で用意したマフラーは車体とえも言えないマッチングを見せ、オイルタンクはアイアンスポーツ用を加工して装着。他に、ガスタンクやハンドル、リアフェンダーはマウント位置を吟味してレイアウトするが、そのハンドルやエンジンに得意のサンドブラストを当てることで趣きのある質感を醸している。そしてこの色味での迎撃が、すべてが報われる、ゴールを飾る際のアプローチだ。
「超シンプルですけど簡単に、瞬間にできるバイクではないので一生懸命考えてやってます(笑)。あとサンドブラストはよくやる手法で、修行してたお店の社長がよくやってて僕も好きっていうのがあります。なので師匠に感謝してここはやってますね(笑)」
HARLEY-DAVIDSON XLH 1995 DETAIL WORK
RISER
ライザー位置を約10cm手前にオフセット。四角い四つ穴のブラケットを作りそれを三つ又下から通して配置。
FRONT FORK
φ35のEVO用フォークを装着し、フォークカバーをブラックアウト。そこにヘッドライトをジャストで収める。
GAS TANK
曰く、全体的に超シンプルなカスタムと言うが、タンクのマウントなどに手腕が冴える。キャップ位置のみ変更。
SEAT
シートは鎌倉のアトリエチェリー作で、オイルタンクはアイアンスポーツ用に手を加えたものをセットした。
MUFFLER
マフラーは2イン1のストレートパイプ。フロント側の有機的なアールや長さなど全てを吟味した上で構築。
REAR END
リアはフロント同様18インチでファイヤストンANSを履く。フェンダーはFXのフロントタイプを流用する。
BUILDER’S VOICE
CYCLE WEST
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