H-D SHOVELHEAD 1975
MAD LOUT MOTORCYCLE
楼閣で膨らませる
ストーリーテリング
全国のあちこちで、40歳手前の作り手たちの士気が高まっている。『マッドラウトモーターサイクル』の住友さんもその渦中の人で、基本的に中庸を得た人だが、筋の通ったカスタムの世界観を持っていて、それを常に無理のない形で表明している。その声は大きくはないけど、大きな部屋の隅々にまできちんと届く。
このショベルヘッドのチョッパーは、最近わりと多く依頼を受けるタイプのものだと言う。触るバイクの半分ぐらいはショベルとのことで、当初はイレギュラーだったこうしたチョッパーもそれが続くうちにレギュラーになってきたんだと一笑する。
「オーナーさんの希望するカタチを元ネタにして、そのオーナーっぽくした感じです。ハンドルの位置と高さ、フォークの長さ、あと気に入ってるって言ってたデザインをシーシーバーに取り入れてますね」
大枠では、オーナーが跨った時に『ビタッ』とくるようサイジングに配慮された。また、結構距離を走ることから、このスタイルでは一般的なドラムブレーキを使わずに、前後にディスクブレーキを設置。安心して止まれる制動力を確保している。
「このチョッパースタイルは諸先輩がたが死ぬほどこすってきたネタだと思うんで、それをトレースしつつ、オーナーさんのサイズにリサイズしてって感じですかね。白人ではなく日本人が跨ってカッコいいようにサイズを調整してます」
リジッドフレームに前後21/18インチホイールを装着し、4インチオーバーのフォークでアウトラインを形成。そして、ディテイルワークに氏の作り手としてのキャリアが投影される。
まず手始めに、ガスタンク。3.5ガロンタンクの幅詰め加工を皮切りにして、リブフェンダーへと移行。中央のリブをシャープにするため、約7mmほど真ん中で切削した後に溶接された。次いで、それを支持するシッシーバーもオーナーの声を事もなげに具象した箇所だ。
「一応このバイクを作るにあたっては、ボバースタイルに飽きたからチョッパーにしたというテーマがあるんです。だからガスタンクとオイルタンクはハイトを短くして、ミッションも上げてフラットレーサーっぽく乗ってたっていう余韻を残してるんです」
実際にそうだったのではなく、それはあくまでも体(てい)である。率直に、ここまで踏み込んだシナリオを描くのはレアケースだ。しかし、この四次元的ストーリーテリングが、これからのカスタムシーンを担いでゆく作り手のタレント性である。
HARLEY-DAVIDSON SHOVELHEAD 1975 DETAIL WORK
HANDLE
ほど良く幅の広がったエイプハンガーはワンオフで用意。オーナーの雰囲気に合わせて製作した部位とのこと。
FRONT FORK
フォークはノーマルφ35のFX純正を4インチオーバー。ここもオーナーのイメージに合わせて作った箇所。
GAS TANK
ショベル用3.5ガロンタンクをナロード。塗装はSペイントワークスが担当し、クローム調がアクセントになる。
FOOT CONTROL
フットコントロールのステップに汎用品を使い、マウントは自作で準備。余計な手を加えずシンプルにまとめた。
MUFFLER
マフラーはミッドハイのポーカーパイプを装着する。リアキャリパーにAPレーシング製対向2ポットをセット。
SISSY BAR
シッシーバーはオーナー好みのデザインに造出。ワイドタイプのリブフェンダーは中央を約7mm詰めて成形。
BUILDER’S VOICE
MAD LOUT MOTORCYCLE
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