H-D EVOLUTION
NAVY’S CUSTOM CYCLE
手牌からにじむ
大勝負でのあり方
「このバイクに関しては、お客さんが乗ってる状態、走ってる状態が見せ場なのかも。なんかオラオラ感があるというか、ちょっと攻めてる感があるというか(笑)」
フロント部分がストレッチされたリジッドフレームに、S&S製ブラックモーターを搭載したチョッパーである。フォークは10インチオーバーで、跨ったポジションはイメージに沿った前傾姿勢のアグレッシブなものだ。
始まりは、オーナーが持ち込んだ写真からだったと作り手の紺野さんは言う。「こうしたい」という希望を起点にして、その要求を忠実に再現。もちろんそこには予算感や、玄人目線での提案も織り交ぜた上で良策が尽くされた。
フロントフォークはワイド幅で、マフラーもオーナーの希望で太めの2インチ径とされるがこの大作りの車体にしっくりとフィット。一方、トラス構造のリアフェンダーステーやダウンチューブ下の内側に移設したコイルなどは、氏が良かれと判断してすかさず処理した箇所だ。
「お客さんが思ってる形でそれはちょっとっていう部分もあるじゃないですか。要はお互いに譲れない部分があって、それの歩み寄りでのぎりぎりのラインで納得するものを作っていく。例えばこの10インチオーバーのフォークは僕的には長いんですよね」
また、そこでノーマルフォークをベースにしたのは同じく純正キャリパーを使って予算を抑えるためで、世の作り手には常にこの問題が立ちはだかる。逆に、限られた金額のなかで産まれるカスタムだからこそ、そこに当事者の想いが宿り、大人になった今ですら夢がふくらんでしまう。いったい誰を喜ばせるために作っているのか。とどのつまりは、そこでしかない。
「ミッドコントロールは右側はショベルのFXの物で左側は作ってます。コイルの位置をエンジン前にしてるのはこれ僕好きなんですよ。元々付いてる純正の位置が凄く嫌で、それなりにやる車両は前側に移動してます」
卓を囲めばたいがいのことは透けてのぞく。場の空気が徐々に固くなり、そろそろみんなの手ができつつあるとする。そして自らの手は、手牌を緑一色に染めている。一世一代の大勝負に早くも目が血走り、抑えきれない脂汗が滲んでしまう。
しかしきっと、紺野さんはそういう状況下でも冷静沈着に、表情ひとつ変えることはないだろう。それは向き合う対象がはっきりしているからで、その雑念に左右されない威風のようなものが、このチョッパーには映し出されている。
HARLEY-DAVIDSON EVOLUTION DETAIL WORK
FRONT FORK
フォークは純正を10インチエクステンド。剛性を確保するスタビライザーはローランドサンズデザイン製。
HANDLE
正攻法のハンドルとショートライザーは汎用品を装着。ノーマルのトリプルツリーにはランプを埋め込む。
GAS TANK
既成のウエストコーストチョッパーズ製タンクの長さを短くして加工。トップにはゴールドのピンラインが入る。
ENGINE
S&S製スーパーストック1340ccをセット。プッシュロッドカバーリングとポイントカバーはオリジナル品。
MUFFLER
車格に合わせてワンオフされた2インチ径のミッドハイマフラー。チョッパーとの調和が取れたデザインとなる。
FENDER STAY
フラットバーを切ってつなげたトラスデザインのステー。テールレンズは出っ張りをカットしてスリム化。
BUILDER’S VOICE
NAVY’S CUSTOM CYCLE
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